2019年12月のアメリカの景気の一言で言うなら、「不振な製造業を好調なサービス業が補う」という展開だったようです。
ISMが発表したサービス業の景気を表す指数(ISM非製造業景況指数)は、予想以上に順調な結果となりました。
この記事のポイント
- ISMが発表した非製造業企業の景気指数は、予想を超えて12月に上昇した。
- 2018年のアメリカの好景気時に比べると、サービス業の景気も弱まっているものの、ちゃんと景気拡大していることが確認できた。
- 他の指標を見ても、堅調なサービス業が不調な製造業を補っている構図が見える。
ゆるやかに景気拡大した2019年12月のサービス業
ISMが非製造業の仕入れ担当者に対して、景況感をアンケートして集計したISM非製造業指数の12月版が発表されました。50を超えていれば、景気が上向いていると見るのですが、予想の54.5を上回る55.0となり、順調に景気が拡大している様子が見えました。
- 予想:54.5
- 結果:予想を上回る55.0(前月53.9も上回る)
過去2年分のISM非製造業指数を見ると、たしかに2018年のアメリカ経済が絶好調の時に比べると景気は悪化していますが、それでも2019年9月の52.6を底に、直近3ヶ月は上昇基調にあることがわかります。
ちなみ、2018年がかなり好調だったのはトランプ政権がまとめた減税の影響が大きいです。この年、企業は軒並み業績が良かったので、その効果が剥がれてきた2019年は、やや景況感が減少しているのは仕方のない事かもしれません。
製造業の不振をサービス業が補う展開
ISM景況指数は、製造業とサービス業(非製造業)でわけて発表されます。
既に発表があった製造業の景気は同じ12月でも不振が伝えられていましたが、サービス業は緩やかに好転している姿が見られ、対照的な結果になりました。
実は、こうした「好調なサービス業と不振な製造業」という構図は、他の経済指標でも見られる傾向です。ADP社がまとめた雇用統計でも、製造業の雇用の不振をサービス業が補っている形が見えていました。
>>【2019年12月ADP雇用統計】製造業の雇用の不振をサービス業でカバーするアメリカ。
製造業の不振に歯止めがかかっていないのは心配ですが、製造業がアメリカGDPに占める割合は10%前後と大きくありません。より重要度が高いサービス業の好調が今のアメリカを経済を支えているようです。