この記事ではISM製造業指数を確認していきます。
ISMのデータはくアメリカの製造業が長らく低迷していることを示し続けているのですが、どうも一時期よりは悪くない状態になっているように見えます。
この記事のポイント
- 9月のISM製造業指数は前月より景気は悪化しているものの、悪化の度合いは緩やかに改善されている様子が見られる。
- 景況感の数字は改善されて横ばいに近づき、また仕入れ価格指数も低下してインフレ圧力も弱まっている模様。
- 2023年のISMの動きを見ていると、上半期の株高を説明するような動きも見られる。これに早く気づくべきだったことは反省点。
悪いなりに改善が見られるISM製造業指数
まず、数値を確認してみると9月の製造業の景況感は思っていたほど悪くなかったようです。
- 予想:47.7
- 結果:49.0(前回:47.6)
この数字は50を超えると製造業の景気拡大、50を下回ると景気悪化と意味します。
今月は49なのでアメリカ製造業の景気は悪化しているのですが、悪化の度合いは改善されています。
上図を見ても2023年前半までに沈んだ景気は一旦持ち直したように見えます。
また、面白かったのは原油高が続いたにもかかわらず、9月の製造業の仕入れ価格指数が低下したことです。原材料が上昇したと回答したのは原油・石炭関連製品を作る企業のみだったというのは少し以外です。
こうしてみると、9月は景気が悪いなりに改善が見られ、なおかつ原油高にもかかわらずインフレ圧力は上昇していなかったようです。アメリカの景気にとっては良い展開が続いたようです。
ISMと株価
さて、ここからはISM製造業指数のデータをいじって、このデータから何が分かるかを見ていきたいと思います。
最近でこそ米国株はやや調子を落としていますが、それでも景気悪化が心配された2023年で米国株はかなり順調に株価を上げました。
私は2023年の米国株高に乗り遅れたのですが、ISM製造業指数をもっと見ていれば株高の波に乗れたかも知れないと反省しています。
次のグラフはISM製造業指数の前年差とS&P500の前年比を比べたものですが、この2つはかなり似通った動きをしていることがわかります。
もちろん、コロナショックや(FRBと財務省が迅速に対応して火消しをした)2023年3月の銀行破綻のような短い期間に事態が進行していく場合には不意をつかれる株価下落は起こりますが、そうしたショックを除けばISMが前年よりも改善する場合には株価も上昇しやすくなるようです。
今までISMとS&P500の価格についてはそれほど注視してなかったので、今後はもう少し見ていきたいと思います。
では、このままISMもS&P500も前年に対して上昇していくのかというと、そうでもないようです。
S&P500の一株利益は今の10-12月期までは回復が続くようですが、アナリストの予想が正しければ2024年からは利益の成長は横ばいになるようです。
そして、下図のように一株利益の成長とISM製造業指数は連動する傾向があるので、アナリストの予想が正しければISM製造業指数の回復も2024年には終わりそうです。
金利が上昇している状態で、もしも2024年にアメリカ企業の景気の回復が止まってしまい一株利益が伸びなくなるなら、株価は良くても横ばいという感じになるはずです。
私は2024年の景気後退を考えているので、2024年こそは株価は下がると予想しています。
2023年は予想に反して株価が上昇して指を加えて見過ごす失敗をしましたが、2024年こそは注意深くさまざまなデータを観察して相場の転換を察知したいと思います。