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低迷するアメリカ製造業の景気

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6月のアメリカの製造業の景気指数がISMから発表されましたが、結果は悪かったです。

企業にアンケートした全ての項目で前月より悪化を示すなど、厳しい内容でした。

今のアメリカはインフレや雇用などがまだ強いですが、それらを抑えるための金融政策はすでにボロボロな製造業に大きなダメージを与えているように見えます。

この記事のポイント

  • ISMによると6月の製造業の景気は、エコノミストの予想に反して前月よりも景気が悪くなったことを示している。
  • ISM製造業指数の全ての項目は、前月よりも景気が悪化していることを示している。仕入れ価格ですら、価格の下落スピードを早めている。
  • 金融引き締めはまだ続くと見られているが、それはすでに弱まっている製造業をさらに弱めることになる。

低迷するアメリカ製造業の景気

毎月はじめにISMから製造業の景気指数が発表されます。今月も6月のISM製造業指数が発表されたので、数字を見ていきたいと思います。

少し前を振り返ると5月の経済指標は予想を超えて前月よりも改善しているものが多かったので、その流れが続くかと思ったのですが、今の製造業はそれほど甘くないようです。

事前のエコノミストの予想を下回って、さらに景気が悪化している様子が見られました。

  • 予想:47.1
  • 予想:46.0

このISM製造業指数は50を超えると景気拡大、50を下回ると景気が縮小していることを示します。

6月は46.0で、これで8ヶ月連続で50を下回る結果になりました。下の図を見ると、アメリカ製造業の景気は2021年から下向きのトレンドが続いていることが確認できます。

また、内訳を見ても、景気拡大を意味する50を超えているものは1つもありませんでした。

昨年はあれほど上昇していた仕入価格ですらも、大きく悪化(価格は低下)している様子が見られます。

一言でまとめるなら、アメリカの製造業は景気が悪いと言えそうです。

弱い製造業がさらに弱まる環境

製造業の景気が悪い場合、通常なら景気後退が近いことを意味します。

例えば、別の指標にはなりますが、アメリカの鉱工業生産指数が前年比でマイナス成長に転じた前後のタイミングで歴史的には景気後退に陥っています。

下の図は5月までのデータが反映されていますが、マイナス圏まではあとわずかです。

ただ、すでに多くの人が知っているように、今のアメリカの景気は製造業などのように大きく低迷しているものがある一方で、まだまだ強いものも混在しています。

まだ強いものの具体例は、サービス業や雇用です。

特に雇用が強いなら、アメリカのGDPに大きな影響を与える個人消費もまだ強いはずなので、アメリカはすぐには景気後退になりません。また、強い雇用はインフレの長期化も招くので、金融引き締めもまだ続くと見られています。

ただ、強い雇用が抑えられるまで金融引き締めが続けば、今すでに傷んでいる製造業はさらにダメージを負うことになります。

この状況はすでに傷んでいる製造業にとっては、かなり苦しいのではないかと思います。

ちまたでは、アメリカは景気後退しないという楽観的な意見が増えていると聞きますが、私は今すでに傷んでいる製造業がさらにダメージを受ければ倒産件数も増加して、いつもの景気後退の突入時のような止めることが難しい失業者の増加を招くと思っています。

リセッションまでの道のりが長ければ長いほど、アメリカの景気の谷は深くなると予想しています。

やはり問題はタイミングです。リセッションのタイミングは雇用に左右されると思っているので、今週発表されるいくつかの指標にどうしても注目が集まりそうです。


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