アメリカの製造業が悪化し始めました。重要指標の1つのISM製造業指数で、アメリカ製造業の景気悪化を表す数字が出ています。
9月1日に発動された米中の関税の影響に加えて、ISM製造業指数も悪化したことでダウ平均は1%を超えて下落しています。
9月に予定されているFOMCで金利引下げの要因の理由の1つにあげられる出来事になりそうです。また、今回の製造業悪化の数字を受けて、一部の市場参加者は9月での米国政策金利引き下げ率を大方の予想の0.25%ではなく、0.50%引き下げるという予想も出始めました。
悪化の傾向を見せ始めたISM製造業指数
ISM製造業指数は、毎月第1営業日に発表される、アメリカの製造業350社の購買担当役員に景況感のアンケートをして集計した数字です。
アンケートの内容は「新規受注、生産、雇用、入荷遅延、在庫」の5項目につき、「良くなっている、変化なし、悪化している」の三択で回答する形式で、最終的に0から100の数字になって値が算出され、発表される数字が50以上であれば景気良好、それ未満なら景気悪化という見方をします。
毎月発表されるアメリカの指標の中で最も早く発表されることが多いため、その月の景気の先行指標として見られることが多いのですが、重要指標の1つであるISM製造業指数は50を下回り、9月は第一歩目からつまずく形になってしまいました。
既に、ヨーロッパや日本でも同様の製造業指数は悪化を示している中、アメリカもその仲間入りをしています。
ただ、アメリカはGDPに占める製造業の割合が大きくないので、まだ景気後退(2期連続GDPマイナス成長)を心配する声はありません。
エコノミストは景気後退(リセッション)の水準を43を見ているようですが、現在は50をわずかに下回っただけなので、まだまだ景気後退には時間がかかるもようです。
FOMCでの0.50%利下げの期待も上がる
この結果は、9月17-18日に行われるアメリカの金融政策決定会合のFOMCにも影響を与えそうです。おそらく、9月の会合でも利下げが行われていると見られていますが、その理由の一つに製造業の悪化が挙げられると思います。
また、市場の一部では早くも大方の0.25%引き下げ予想を上回る、0.5%の引き下げを予想する声も出始めました。