11月のアメリカの製造業の景気の強さ(景況指数)がISMから発表されました。
どうも事前の予想をほんのわずかに下回る数字だったようですが、詳細を見てみると内容はかなり良かったと思います。
強い需要が続いて雇用の増加にもつながるなど景気の良さが見えた一方で、これまで問題視されていた部品供給の遅れが弱まったり、仕入れ価格の伸びが鈍化したりと、インフレ圧力がわずかに和らいでいるように見えます。
私はこれからのアメリカは少しずつ景気が悪くなってインフレも比較的高い状態が続くと思っているのですが、11月の製造業の景気を見る限り、現状についてはまだ悲観的にならなくても良さそうです。
この記事のポイント
- 2021年11月のアメリカの製造業の景気は予想をわずかに下回ったが、まだ順調に景気が拡大している模様。
- 好調な景気が続いている一方で、供給遅延や仕入れ価格上昇の勢いが和らいでインフレ圧力が和らいでいる。これはインフレに悩む今のアメリカにとって良い傾向。
好調が続いた11月のアメリカ製造業
既に冒頭で伝えているように、11月のアメリカの製造業の景気の強さは予想は下回りました。
ただ、下回ったと言ってもほぼ「予想通り」と言って良いほど、差はわずかなものでした。
- 予想:61.2
- 結果:61.1(前回:60.8)
また、50を超えていれば景気の拡大を意味する数字で60以上を記録しているので、11月のアメリカの景気は相変わらずに良かったと言って良さそうです。
上のグラフを見てもわかるように、2021年のアメリカは総じて60を超えて、好景気の状態が続いています。
需要は強まりインフレ圧力はわずかに和らぐ
11月のISMのレポートを見てると、内容が良かったと感じました。
これまでの数カ月は新規受注に一時的ほどの強さが見られなかったのですが、11月はまた60を超える高い水準で踏みとどまりまって、好調をキープしています。
好調な業績を背景に企業の採用が少し改善を見せたようで、雇用指数も上昇傾向が見られます。
明日12月3日(金)に発表される雇用統計にはずみがつく結果だと思います。
わずかに見られるインフレ圧力の和らぎ
今回のISM製造業のレポートで一番気になったのは、わずかながらインフレ圧力が弱まっている様子が見られたことです。
2021年のアメリカで大きな問題になっていた部品などの供給遅延も以前ほどではなくなっており、これはインフレを和らげる要因になると思います。
また仕入れ価格を見てみると、一時期ほどの価格の伸びは見られません。
以下のグラフで見るとわかるように、仕入価格指数はアメリカの消費者物価の伸びと同じような動きをする傾向があるのですが、ISMの仕入価格指数が下がっているということは、そろそろ物価の伸びも緩やかになっていく可能性はあります。
さいごに
この記事では、アメリカの景気を占うために何かと話題になりやすいISMの製造業景気指数を見ていきました。
結果はわずかに予想を下回りましたが、雇用は伸びた上に、強すぎるインフレ圧力が(少なくとも製造業のまわりでは)弱まっている様子が見られるなど内容はかなり良かったと思います。
消費者物価は製造業が作り出すモノだけで決まるわけではないので、今回の結果だけで「インフレの伸びはこれから弱まりそうだ」とは言えませんが、11月の製造業ではひとまずインフレ圧力が弱まる良い傾向が見られると言えそうです。