ここでは毎月ISMが発表している米国製造業の景気を確認していきます。
製造業の景気は良くないことは、以下のブログで別の経済指標を見てお話しましたが、やはりISMでも3月は低迷したようです。
一番気になるのは、雇用についてです。今回の景気サイクルでは雇用は強かったはずなのですが、ついにその雇用にも陰りが見られはじめました。
- ISMが発表した3月の製造業の景気は、予想を下回る低迷していた。
- 前月からの景気横ばいを意味する50の値をやや大きく下回る46.3で、製造業が低迷している様子が見られた。
- 最も気になるのは雇用指数が悪化したこと。昨年とは違い、製造業企業が採用凍結やレイオフを行ったことで雇用指数が悪化した模様。
低迷している3月の米国製造業の景気
製造業の景気は良くなかったようです。3月はエコノミストの予想も下回りました。
- 予想:47.6
- 結果:46.3(前回:47.7)
また、50を下回っていると製造業の景気が悪化していることを意味するのですが、見ての通り今月の結果は50を大きく下回っています。
今月の46.3という数字は2020年5月以来の低い数字だったようです。
最近はずっとこんな感じで製造業の景気は低迷しています。最近のISM製造業指数のグラフを載せましたが、これを見ても低下傾向が続いている様子がわかります。
新規受注が低迷
今回は特に内容も悪かったです。例えば、新規受注は2022年以降は低下傾向が続いているのですが、まだ歯止めがかかっていないように見えます。
要するにモノに対する需要が弱い状況が続いています。
2021年までは新型コロナの配送網の混乱と物資不足でモノへの需要もまだあったのですが、2022年からモノの需要は衰え続けています。
雇用は減少
次のほうがより重要だと思われるのですが、3月は製造業の雇用指数が再び落ち込みました。
実は2022年にも雇用指数が落ち込みましたが、それと今回では勝手が違うようです。
昨年の雇用指数の落ち込みでは人手不足で募集をかけても人が来なかったのに対して、今回は企業が採用凍結やレイオフを実施している状況だと言います。このコメントにも、米国の景気が傾いている気配を感じます。
景気後退は近いのか
ISM製造業指数が節目の50を今回も大きく下回り、さらに雇用も冷えてきたことから「そろそろ景気後退が近いのか」と不安を感じる投資家もいると思います。
間違いなく、景気は終盤には差しかかっていると思います。ただ、今すでに景気後退になっているかどうかというとそれはまだ分かりません。
別の経済指標でありますが、S&Pグローバルが発表した3月の米国のPMIを見ると、サービス業の景気が全体を押し上げているために、まだ米国の景気は持ちこたえているというデータもあります(下リンク参照)。
>>予想以上に強かった3月のアメリカPMI(23年3月28日)
明日4月5日に発表されるISMのサービス業のデータも合わせて見てみたり、景気後退に入るかどうかは失業率が大きなカギを握るはずなので失業率も合わせて見てみる必要がありそうです。