毎月はじめに米国製造業の景気の強さがISMから発表されているので、2月の数字を見ていきたいと思います。
ほとんど予想通りだったのですが、細かいところを見るとインフレの高止まりの兆候のような数字も見られました。
この数字に反応したのかも知れませんが、また市場の政策金利予想が強まりました。
政策金利の予想の引き上げが止まらないですね。この展開では株も国債も売られやすくなるので、投資家としては少し困った状況です。
この記事のポイント
- 2月の米国製造業の景況感は前月からは良くなったが、それでも前月よりも悪化していることに変わりはない。
- 2月に支払い価格指数が上昇に転じた。インフレがやや根強く残っている印象を与えた。
- 市場の政策金利予想が、また引き上げられた。
2月の製造業の景気指数
ISMから2月の製造業の景気指数(ISM製造業指数)が発表されました。
今回のデータを見て「製造業の調子は前月よりはマシだけど、それほど良くない」「インフレがわずかにぶり返している兆候があるかもしれない」という2つが気になったので、順に見ていきます。
まず、今月のISM製造業の数字についてです。
- 予想:47.8
- 結果:47.7(前回:47.4)
まず、結果を見ると前回よりもほんのわずかに上昇しています。
ただし、節目の50を下回っているのが、やはり気になります。この50には意味があり、50を下回るようだと米国の製造業全体は前月よりも景気が悪化したことを意味します。
まとめると2月は1月に比べるとマシになったものの、前月から悪化している状況は変わらないという状況に見えます。
個人消費やサービス業は恐らく2月もまだ景気拡大が続いているはずと思いますが、製造業の景気はあまり良くないのでしょう。なので、米国の景気後退はわずかに遠のいたのかも知れませんが、まだ懸念を払拭できるほど景気は強くありません。
インフレの高止まりの傾向か
ISMから発表された詳しい数字を見ていくと、心配な点も見られました。
次のグラフは製造業が支払っている仕入れなどの価格についてまとめたものですが、こちらは前月から7ポイント上昇しています。
支払い価格は22年末から上昇傾向に転じているようにも見え、インフレ圧力は高止まりしそうな雰囲気も感じます。
これに反応したのか分かりませんが、昨晩は金利先物市場の投資家による政策金利予想がまた引き上げられました。
2月から1ヶ月間ずっと金利引き上げ予想が強まっていますが、冒頭にも書いたように2022年にも見られたこの展開は株も国債も売られやすいので投資家泣かせです。
問題はこれから4回分(1.00%分)引き上げられる政策金利に米国は耐えられるのでしょうか。
現時点でまだいくらか余力がある消費者や好調なサービス業なんとかやりくりできるかも知れませんが、既にISMの景況指数が50を下回っている多くの製造業にはかなりつらいはずです。
やはり、アメリカの景気後退は今ではないですが、遅かれ早かれやってくるのだと思います。