毎月はじめにアメリカの製造業の景気がISMから発表されているので、この記事で確認していきたいと思います。
予想通り3月のアメリカの景気は前月よりもペースを落としていました。
市場がシグナルを送っているような景気後退を心配するような弱さには程遠いですが、多くの人が考えている通り、アメリカの景気拡大は鈍化傾向が続いているようです。
この記事のポイント
- 3月のアメリカの製造業の景気は予想を下回った。新規受注の伸びは減速し、支払い価格が上昇してインフレ懸念が強まった。
- 先に発表されたニューヨーク連銀の景気指数ほど悪い数字ではなく、まだ景気拡大は続いているが、そのペースは鈍化傾向にある。
- 景気サイクルで先行している中国を見ても、これからアメリカの景気少しずつ鈍っていくと見られる。
景気拡大ペースの減速が見られるアメリカ
ISMから3月の製造業に関するレポートが発表されたので、結果を確認していきます。
- 予想:59.0
- 結果:57.1
この数字は50を超えていれば景気拡大していることを意味します。なので、まだアメリカはちゃんと景気拡大を続けているようです。
先日ニューヨーク連銀が発表した製造業の景気指数では「景気悪化」を示してヒヤリとしたのですが、ISMではまだまだ「景気悪化」には至らず「景気拡大」が続いていることが確認できました。
>>「景気悪化」を示したNY連銀の製造業景気指数(2022年3月16日)
以下のグラフでニューヨーク連銀とISMの景気指数を比較してみましたが、ニューヨーク連銀のほうが大きく悪化しないとISMも景気悪化とはならないようです。
しかし、一方で気になるのは景気拡大ペースの鈍化です。
あらためて約2年分の過去のデータを見てみると、2021年の勢いは既にアメリカにはないことがわかります。今月の57.1という数字は2020年9月以来の低い数字だったようです。
内容も悪かった3月の製造業
さらに言うなら、この3月の景気は内容も良くなかったです。
新規受注が急減速して景気の鈍化が心配な上に、製造業が支払う価格指数は上昇を続けてインフレも心配な状態です。
どちらも前月よりも状況は悪化しているように見えます。
さいごに
この記事では、3月のアメリカの製造業の景気を見ていきました。わかったこととしては、「アメリカの景気拡大ペースの鈍化」と「インフレのさらなる高まり」の2点があります。
景気拡大ペースの鈍化については、既にこのブログでも何ヶ月も触れているのでよく知っている人も多いと思います。
フィデリティの景気サイクルの分析でも、アメリカの景気拡大は既にピークをこえて下り坂に入っているので、これからもこの鈍化傾向は続くはずです。
また、今回の景気サイクルで世界の国より先行している中国の製造業の景気(財新PMI)でもまだ景気の鈍化が続いていて、アメリカ(ISM製造業)もそれを追随するような形になっています。
この傾向が続くなら、アメリカの景気の鈍化もそこそこ長い期間続きます。
また、今回のISMのレポートで見られたインフレの高まりは、厄介な心配事です。これを見る限り、4月12日に発表される3月の消費者指数も高い値が発表されるのだろうと感じます。