4月から5月に代わりました。
前月のアメリカの景気がどうだったかを知るための経済指標の発表が続々と発表されるので、これからしばらくはそれらを見ていきたいと思います。
まず、今回は毎月恒例のISM製造業指数です。
この記事のポイント
- ISM製造業指数は予想よりも良かったが、製造業の景気悪化を示す50を6ヶ月連続で下回った。
- ただ、光明も見られる。ISMの下げ幅は小さくなっており、このような状況なら景気後退が来るまでの時間で株価は大きく下がらない。
予想よりは良かったISM製造業指数
4月のISM製造業指数はあまり良くなかったです。
今回は予想ほど悪くなかったのですが、景気悪化を示す50を下回る数字が続いています。
- 予想:46.7
- 結果:47.1(前回46.3)
これで50を下回るのは6ヶ月連続になります。
2週間ほど前に発表されたニューヨーク連銀製造業指数(下リンク)では4月の製造業は景気拡大の気配を見せていたので、ISMももう少し良いかと思っていましたが、そうはいきませんでした。
>>4月のアメリカ経済は意外にも好調かも知れないが、楽観できない。
ISM製造業指数の動きからわかること
毎回、「ISMの結果が良かった」「今月は悪かった」だけではつまらないので、もう少しこのISMのデータから分かることはないか見ていきたいと思います。
一つはこのブログでも毎月のように取り上げている、ISM製造業指数と一株利益の関係です。
ISMが低迷すれば、S&P500の一株利益の伸びも冴えない状況になっているという関係が長期的に見られますが、今月もISMは50を切ったので一株利益の伸びも恐らく前年比でマイナス成長が続いているのだろうと思います。
ただ、光明も見られます。
ISM製造業指数はしばらく前から50を下回って低迷していますが、下げ幅は小さくなっている印象があります。
このような状況では、投資家は「そろそろ景気悪化の底打ちが近いかもしれない」と考えるのか、S&P500の株価の下落率も小さくなることがわかっています。
次の表は、「ISMの前年同月差」と「S&P500の株価の前年比」を比べたものです。最近ではISMの低下が緩やかになっているので、S&P500の前年比のマイナス幅もだいぶ緩やかになっています。
これを見る限り、ISMが50を下回っていたとしても以前よりも大きく悪化しなければ、株価は落ち着いた動きを見せるのではないかと思います。
このような動きは2019年秋にも見られました。
2019年秋は景気拡大期の終盤の気配がありましたが、ISMが下げ止まると株価も上向きました。結果的に2020年3月にコロナ不況の訪れとともにISMもS&P500の株価も急落しましたが、2019年後半からは株価がしばらく伸びる時期もありました。
なので、2023年もISMの急低下(恐らくリセッション入り)がなければ、株価は横ばいからじっくりと上向いていく展開もある気がしています。
ただ、私はアメリカは2023年のどこかでリセッションに突入すると思っているので、今から株を買うことはせずに静観するつもりです。