先日ISMから発表された10月のアメリカ製造業の景気について書いていきたいと思います。
既にもう何ヶ月も前からアメリカ製造業の景気拡大ペースの鈍化が続いていましたが、ついにほとんど横ばい状態にまでなり、景気悪化が近づいています。
この記事のポイント
- 10月のISM製造業指数は景気拡大ペースが鈍化しほぼ横ばい状態になった。景気悪化まで秒読みの段階に来ている。
- 今後数ヶ月で大きく50を下回れば、企業利益も悪化して株価に悪影響が出る。
景気拡大がほとんど止まったアメリカ製造業
10月のアメリカの製造業の景気ですが、一応予想していたより少しだけ良い結果となりました。
- 予想:50.0
- 結果:50.2
ただ、この数字が意味するものを理解するとそれほど楽観的にはなれません。
ISM製造業指数は50が一つの節目の数字になっています。50を上回れば前月にくらべて景気拡大、50を下回れば前月に比べて悪化を意味します。
今月の結果の50.2はほとんど景気拡大はなくなり、横ばい状態に入ったことになります。
そして今までのアメリカの景気拡大鈍化のペース(下のグラフ)を考えると、このまま横ばいが続くというよりも、今後数ヶ月で50を下回ってもおかしくないように思えます。
ISM製造業指数が50を下回ると企業業績が悪化する
毎月同じ話をして申し訳ないのですが、このブログを初めて読みに来た人向けに「ISM製造業が50を下回ると何が問題なのか」を書いておきます。
今後数ヶ月でISM製造業指数が50を下回ると困るのは、いよいよ企業の業績が悪化を初めて、株価が崩れる恐れがあるということです。
ISM製造業指数とS&P500の一株利益を下のグラフで1つにまとめてみましたが、これらはかなり似通った動きをしています。
株価は企業の利益に比例するので、今後数ヶ月で企業利益が悪化に転じれば株価は景気後退前を前に下落を始めるという展開になります。
例えば、企業利益の低下とともに株価が下がる動きは2020年の新型コロナ不況に見られています。
また、アメリカの住宅バブルを背景にした2007年から2009年の世界金融危機(サブプライムローン問題・リーマンショック)時にも、企業利益の悪化で株価が崩れています。
今後数ヶ月でISM製造業指数が50を下回らないか、そして企業利益が大きく下落しないかを注意してみたいと思います。