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株・国債・金の特徴を理解して、景気後退に備える

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「株やら金やら投資商品ってたくさんあるけど、どんな特長があるのか知りたい」

「株が低迷するときは、株以外にどんな資産を持てば儲かるか知りたい」

この記事ではこんな疑問に答えていきます。

私はまだ学生だった2007年から投資を初めて、今まで株・国債・金・REIT(不動産)・FX・仮想通貨と一通りいろんな資産の投資を経験をしてきました。

新しい資産に投資してみようかなと考えるときにいつも気になっていたのは、「どんな景気のときに、何の資産を持ったら儲かるのか投資の判断基準を知りたい」ということです。

この記事では、株・国債・金などの資産ごとの特徴を理解して、どの時代にどんな資産に投資したら良いのかを長期投資を前提に考えます。また基本的に米国株のデータを使っていますが、考え方は日本株でも同じです。

この記事のポイント

  • 株は経済の成長にあわせて長期的に価格を上げる。金はインフレ強い資産で、国債はインフレがない景気悪化時に強い。
  • ざっくりと10年単位で、どの資産(株・国債・金)がリターンが高くなるかが変わる。
  • おすすめの投資スタイルは、経済の成長を見越して基本は株に投資。景気が悪いときには、インフレの有無で金や国債にも投資をする。

すでに、ポイントで結論めいたものが見えていますね。なぜ、そう言えるのかをこの記事で紹介していきます。

なお、この記事はある程度投資をやったことがある人を対象に書いています。これから投資をする人には、まず株の投資を始めることをおすすめしています。詳しくはこちらをご覧ください。

株・国債・金の特徴を理解する

株は経済成長とともにリターンを上げる長期投資に向いた商品

株の特徴はこちらです。

  • 経済成長すれば基本的に株価は上がる。
  • その理由は、経済が成長するなら利益も増えているはずで、利益が増えれば株価が上がるから。
  • 長期的にアメリカ株は7%のリターンで成長してきた。長期投資に向いている商品。
  • 景気が悪化すると、急激に株価を下げる。他の資産に比べて、変動がかなり大きい。

実際にデータを見たほうが早いかも知れません。

過去100年のS&P500(アメリカ株)のデータですが、株価は右肩上がりに上がっています。100年間でおよそ平均リターンは7%と言われています。

経済成長とともに上昇を続けたS&P500(米国株)

出典:『multpl

ただし、投資するときに一番気をつけないといけないのは、株は上昇幅も下落幅も他の資産よりも大きいということです。

米国株を例に取ると、最大で最高値から89%の下落を経験したこともあります。リーマンショックでも50%以上の下落を経験しています。

米国株投資で押さえておきたい数字シリーズ2:不況時の最大下落率編

なので、景気の悪化するタイミングも常に株で運用するというのは、リスクを伴う選択になります。

20-30代の資産形成期でしっかりと余裕資産で投資している人なら株だけでも十分ですが、年齢が上がるにつれて取れるリスクが小さくなってきたら、株だけでなく国債や金などで資産を守る方法身につけたほうが良いかも知れません。

国債は不況時の安全資産(ただし、インフレだけは注意)

国債は安全資産と言われます。

株よりも価格が安定し、株の配当よりも利回りが高いのが特徴です(その代わり売却益も含めた長期リターンは株よりも小さいですが)。また、株が下落したときに国債価格があがる傾向があるので、株の下落時にクッションになるため、安全というイメージがついているのでしょう。

この国債に投資するときに、基本的に覚えておくべきことは次の点です。

  • 景気の低迷時には、株が売られて国債が買われるため国債のリターンが高くなる。
  • 株の低迷時に国債を持っておけば、資産の減少をある程度防げる。
  • ただし、モノの値段が上がりながら景気が悪化するインフレ時代には、株も国債も売られる(金などが買われる)。

こちらは証拠のデータです。

年代 米国株 長期国債 商品
1930年代 -2% 37% 5% -2%

1930年代で世界恐慌に沈んでいる時代の資産毎のリターンですが、不況時に株価が大きく沈んでいる一方で、国債が大きなリターンを生んでいることが分かります。

次は、この100年間でもっともインフレで景気の悪化が激しかった1970年代のデータです。

年代 米国株 長期国債 商品
1970年代 5% 4% 30% 15%

この時代の景気は悪かったのですが、もっともリターンを上げたのは国債ではなく、金でした。このようにインフレ時代になると国債は強く売られて、金や商品に資金が移動するので注意が必要です。

インフレでリターンを上げる金

「有事の金」と言われるように、戦争や経済が不安定になったときに買われる資産が金です。ただし、長期的に見た場合には「有事」よりも重要な性質があります。

  • インフレしながら景気が悪化する時代に、金のリターンが大きくなる。
  • (そこまで重要ではないかもしれませんが、マイナス金利でも金の価格があがる。)

インフレに強いのは金だけじゃなく、商品(原油・小麦・トウモロコシなど)・不動産も同じです。不動産のデータは手元にないのですが、商品がインフレに強いことは上記の1970年代のリターン表を見れば一目瞭然です。

また、仮想通貨も総量が決まっているビットコイン等であればインフレに強い資産と見てもいいと私は思っています。しかし、インフレに備えるなら王道の投資先は金です。取引量が圧倒的に金のほうが大きいからです。

長くなったので、いったんまとめます。

  • 長期投資では基本的に、株が高いリターンを上げる。
  • しかし、景気が悪いときに株価は急落するので、必要に応じて国債や金にも投資する。
  • 景気が悪くなるときにインフレを伴うかどうかで、国債と金のどちらを買うべきかが変わる。
  • インフレを伴うなら金、そうでないなら国債がリターンを上げる。

2020年代の景気低迷は国債と金どちらを買うか


2019年11月時点では、まだ株中心の投資でいいと思っています。

でも、2009年から10年も株が好調な時代が続いています。あと1-2年でこの流れが終わってもおかしくないほど、アメリカの景気は終盤に来ていると思っています。

2020年以降に次の景気の低迷が起こるとしたら、金と国債どちらに投資したほうが良いでしょうか。

インフレのない景気低迷が訪れるシナリオ

私が想定している基本シナリオは以下です。

  • 世界の景気減速にあわせて、アメリカも景気が低迷。中央銀行FRBが政策金利ゼロに引き下げて、国債の大量購入も開始する。(国債は買われる)
  • 量的緩和でも景気が浮上しない場合、アメリカ政府は大規模な景気支援策を打つ。それで景気が回復してインフレ率が上昇し始めたら国債を売って、株で景気回復の波に乗る。
  • その後もしも、インフレの上昇が止まらないようなら、インフレの景気低迷に備えて金を買う。

参考:今後のアメリカを中心とした世界経済で起こる9つのこと。

このシナリオが起こる場合は、金ではなくまずは国債を持っておくことが良さそうです。かなり先走ってしまったのですが、私は既にこのシナリオを見据えて、2019年8月末に国債を中心としてポートフォリオに変更しています。

(そして今では、この判断は早すぎたと反省しています。投資は反省と勉強の毎日です。)

インフレによる景気減速が訪れるシナリオ

しかし、基本シナリオ通りにことが運ばないこともありえます。株は10年ほど好調な相場を迎えていますが、実は国債は約30年も好調な時代を迎えてて、そろそろ国債のバブルが弾けても良いことだと言われています。

1980年代前半にピークから買われ続けた10年米国債

出典:『multpl

上の図は、米10年国債利回りの図です。利回りが30年低下していますが、これは30年間国債が買われ続けたことを意味しています。

なので、可能性は低いものの、そろそろ国債バブルが弾けるようなインフレ率が上昇するシナリオも考えています。

  • 2020年以降インフレ率が上昇するも、急な利上げをすると企業の資金繰りが悪化して低迷につながることを心配してFRBの利上げペースが遅れる。
  • 結果、インフレ率が上昇して、30年続いた国債バブルが弾けて価格が下落。代わりにインフレに強い金が買われる。

この場合は、金が有望な資産になります。

アメリカの期待インフレ率の調べ方

次のアメリカの景気低迷で国債と金のどちらで資産を守るかは、インフレ率が重要な鍵を握ることお話してきました。

アメリカの市場が、どの程度のインフレ率を予想しているかを調べる方法をここにメモしておきます。

方法は簡単で、以下のリンクをクリックするだけです。

市場の期待インフレ率(10年米国債ブレークイーブン・インフレ率) – FRED

すると英語の画面にはなりますが、以下のように期待インフレ率を見ることができます。

市場のインフレ期待率

ざっくりいうと、この期待インフレ率が上がってきたら金が有利な展開、低下すれば国債が有利な展開です。

まとめ


投資の基本となる株・国債・金の基本的な価格の動き方を紹介しました。

基本的には株で長期投資がリターンを生み出してくれるのですが、景気が低迷する場合には国債や金に一部資金を逃したほうが良いと思っています。

金と国債はインフレ率によってリターンが変わるので、次の景気の減速がインフレを伴うのかどうかが、かなり重要な分かれ道になります。

また、このページでは使ったアメリカの年代別の資産リターンはこちらのページでまとめてます。過去のデータから今後の投資方針を検討するのに、お使いください。


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