景気が悪化する前には、10年国債利回りが2年国債利回りよりも低くなってしまう現象(逆イールド現象)が起こると言われています。
この逆イールド現象について理解を深めれば、次にアメリカの景気が悪化する時期と、株価が下落する時期を大まかに検討をつけることができるかも知れません。
この記事では、過去40年のアメリカで見られた景気後退の何ヶ月前に逆イールド現象が起こっているのかを調べていきます。
また、逆イールド現象が起こってから何ヶ月後に米国株はピークをつけて下落に転じているかも調べてみました。
この記事のポイント
- 過去40年に起こった6回の景気後退を調べると、いずれも景気後退前に逆イールド現象が発生している。
- 逆イールド現象が発生してから、景気後退までの期間は平均で18ヶ月。
- また逆イールド現象が発生してから、米国株指数S&P500がピークをつけるまでは平均15ヶ月かかっている。
逆イールド現象と景気後退と関係
実際に過去40年に訪れた6回の景気後退(≒不況)の前には、毎回逆イール現象が発生していました。
次のグラフは、10年米国債の利回りから2年国債利回りを引いたものです。
このグラフがマイナスに変わった時が逆イールド現象が発生したタイミングですが、景気後退の前には必ず逆イールド現象が起こっていることがわかります。
出典:FRED(こちらをクリックすれば最新グラフが見れます)
私は2022年にも、アメリカで逆イールド現象が起こるかも知れないと思っています。
もしも発生した場合には、それからどのくらいの年月が経てば景気後退に突入するのでしょうか。
そこで過去に逆イールド現象が起こってから、景気後退になるまでに何年何ヶ月の時間があったのかを調べてみました。
上の表を使って、逆イールド現象が発生してから景気後退になるまで何ヶ月くらいかかるのか平均を調べたら、だいたい18ヶ月でした。
ただし、バラツキが大きいので18ヶ月目に景気後退がやってくるというよりは、逆イールド現象が起こってから18ヶ月目の前後10ヶ月は景気後退になりやすいという、かなり曖昧なものしかわかりませんでした。
(つまり、標準偏差は約10ヶ月でした。)
景気後退と株価の関係
投資をしている人なら本当に気になるのは、逆イールドが発生してから景気後退になるまでの期間ではなく、米国株がピークをつけるまでの期間だと思います。
なので、逆イールド現象が発生してから米国株指数S&P500がピークをつけるまでにかかった年月も調べてみました。
結論としては、景気後退までの期間とそれほど大きな違いはなかったです。
逆イールドが発生してから株価がピークをつけて下落に転じるまで平均して15ヶ月、バラツキまで考えるとだいたい15ヶ月目の前後9ヶ月の間に株価はピークをつけていました。
(つまり、平均15ヶ月で標準偏差9ヶ月でした。)
上の表で見てみると、逆イールド現象が発生してから最短で2ヶ月で株価がピークをつけているような時期もあるので、安全に運用するなら逆イールド現象が発生した月や翌月くらいに株の売却を進めるのが良いのかも知れません。
私も2021年の年末に以下の記事で書いたように、逆イールド現象が起こったら一部の株を売ることを考えています。
>>2022年に株を売る場合の判断について(2021年12月6日)
それまでは、まだしばらくは米国株の投資を続けるつもりです。