11月になってから、テクノロジー業界でレイオフ(一時解雇)が増えているという話をしました。
しかし、まだこれはテクノロジー業界に限った話のようです。アメリカ全体では11月中旬になっても失業者は増えていませんでした。
この記事のポイント
- アメリカの新規失業保険申請件数は11月中旬でも大きな増加は見られない。
- 最近の大手ハイテク企業のレイオフの波は、今のところ業界の中だけに留まっている話にも見える。他の業界に飛び火するにしても、2022年内のアメリカの景気後退はなさそう。
目立った増加は見られないアメリカの新規失業者
11月12日までの1週間のアメリカでの新規失業保険申請件数が発表になりました。
しかし、結果目立った増加は見られませんでした。
冒頭でも話をしたようにテクノロジー業界では11月からレイオフが急増しているのですが、上のグラフが示すようにアメリカ全体では失業者は増えていないことがわかりました。
2022年内の景気後退はなさそう
さて、レイオフの流れが大手ハイテク企業だけに留まっているということになるなら、2022年内でのアメリカの景気後退は恐らく回避できるのだろうと思います。
理由は下に列挙するようにいくつかあるのですが、一言でいうとアメリカの経済は強い部分があり、あと1ヶ月半で景気が崩れるとは思えないからです。
- (1)失業率の悪化の兆候が見られない。
- (2)10-12月期のGDP成長率がまだ高い。
- (3)企業の資金繰りはまだ悪化していない。
(1)の失業率の悪化は、この記事の前半で確認した通りです。新規失業保険申請件数の増加が始まっていないので、まだ11月も失業率ははっきりと増加に転じないはずです。
また、(2)のアメリカの経済成長については、消費がまだ好調なために今の10-12月期は実質+4%以上も実質GDPが伸びると予想されています。
最後に(3)についてですが、アメリカの企業の資金繰りはまだ悪化していないように思えます。本当にアメリカ経済全体が悪化に向かうときには信用の低い企業の資金繰りが悪化して、ハイイールド債(ジャンク債)が大きく上昇するのですが、その動きがまだ見られません。
このブログでは何度も言ってるように、恐らくアメリカは景気後退を避けれない状況にはあるはずなのですが、どうやら2022年はしのぐことができそうです。