コンテンツへスキップ

1月のアメリカ鉱工業生産指数は予想外の悪化

  • by

昨日の記事で、アメリカではサービスは好調でもモノは売れていないという話をしました。

モノが売れていない様子は、鉱工業生産指数でも確認できるので見ていきましょう。

この記事のポイント

  • 1月のアメリカ鉱工業生産指数は予想外のマイナス成長に転じた。
  • 過去の景気後退では鉱工業生産指数が前年比でマイナス成長になっている。
  • 昨年から鉱工業生産指数は前年比で小幅なマイナスを行き来している。マイナス幅が悪化するようだと景気は崩れる恐れがある。

1月の鉱工業生産指数は予想外の悪化

モノづくりの活動が活発に行われているかを示すデータに、鉱工業生産指数があります。

1月は前月比+0.5%で大きな伸びがあるだろうと期待されていたのですが、この結果は予想外にマイナス成長となっています。

  • 予想:前月比0.5%
  • 結果:前月比マイナス0.1%

この鉱工業生産指数は、現時点での景気の良し悪しをかなり的確に捉えることができるデータとしても有名です。

たとえば、以下の図で灰色に塗った時期はアメリカの景気後退期を示していますが、この時期の鉱工業生産指数の前年比はすべてマイナスに転落しています。

そして、現時点で鉱工業生産指数の前年比はどうなっているかを示したのが以下です。

2023年の途中から何度か前年比でマイナス成長を繰り返しており、その度にプラス圏に復活しているのですが、1月のデータで再度前年比0%にまで落ち込んだというのが現状です。

薄氷をふむような、危うい展開であることがわかります。

さいごに

最近の鉱工業生産指数を見ていると、やはりアメリカのモノの消費は不調なのだろうと思います。

2022年後半からISM製造業指数が悪化したことを前兆に、2023年からは鉱工業生産指数が度々前年比マイナスになりはじめ、そして2024年1月にはモノの消費が中心の小売売上高も大きく鈍化したという流れで今に至っています。

>>アメリカの堅調なサービス消費の影でモノの消費は低迷か(2024年1月16日)

ただ、それでもまだしばらくはアメリカの景気は持ちこたえると思います。サービス業はまだしぶとく景気拡大が続いているからです。

たとえば、ISM非製造業指数(サービス業の景況指数)はまだ景気悪化水準の50を下回ってきません。そして、いつも50をわずかに上回って、緩やかな景気拡大が続いているように見えます。

飛行機は両翼にあるエンジンのうち片方がダメになっても飛び続けられると聞いたことがありますが、今のアメリカも似た状況にあります。

製造業は不調でもサービス業が好調なので、一見問題なく景気拡大が続いているように見えます。

何が起こればサービス業が不調に転じるのか、サービス業が不調になる前兆として何が起こるのかは、こから時間をかけて調べていきたいと思います。


本ブログからのお願い

この記事は、読者が自由に記事の金額が決められるPay What You Want方式をとっています。

「役にたった」「面白かった」など、何かしら価値を感じた場合は、YUTA'S INVESTMENT TICKETをクリックして、価値に見合った金額をお支払い下さい。

価値がないと思った場合には、お支払いは不要です。同じ記事を読み返して、新しい気づきがあった場合には、1人で何回クリックしても問題ありません。