景気後退が近づいているかを知るための方法はいくつも知られています。
その中のひとつに鉱工業生産指数を見てみるというものがあります。
ここでは先週発表になった2月のアメリカの鉱工業生産を見ていくことにします。
この記事のポイント
- 2月のアメリカ鉱工業生産指数は予想は上回ったが、1月は大きく下方修正された。
- アメリカでは景気後退になると鉱工業生産指数は前年比の値でマイナスになることが知られている。
- 現時点で鉱工業生産指数は前年比マイナス0.2%。大きなマイナス成長にはなっていないが、薄氷を踏む展開となっている。
2月のアメリカ鉱工業生産指数
先週発表のあった2月のアメリカ鉱工業生産指数を見てみましょう。
結果からいうと2月分のデータは予想をわずかに上回りましたが、前月の1月分のデータが大きく下方修正されているようです。
- 予想:前月比0.0%
- 結果:前月比+0.1%
- 前回:前月比-0.1%から-0.5%へ下方修正
冒頭でも話ましたが、この鉱工業生産指数をつかって一体どうやって景気後退が近いかどうかを見るのでしょうか。
前月からの伸び(前月比)では毎月の変動幅が大きく全体像が見えにくいので、前年同月からの伸び(前年比)で見てたのが以下のグラフです。
灰色の箇所はアメリカの景気後退期を示しています。これを見ると、景気後退期にはかならず鉱工業生産指数が前年比マイナス成長になっていることがわかります。
(※鉱工業生産指数がマイナスだからといって、かならず毎回景気後退になるわけではありません。ただ、高確率で景気後退にはなります)
それでは、最近1年間の様子を見てみましょう。
上のグラフを見ると2023年半ばから前年比マイナスを行ったり来たりしています。
2023年の10月、11月、12月と調子を上げた一方で、2024年に入ってから2ヶ月は再び調子を落としていて、いまだ復調しているとは言い難い内容です。
スタグフレーションのリスクもちらつく
鉱工業生産指数がマイナスになったから景気後退になるというわけではありませんが、どうもまだ不穏な動きが続いているように見えます。
2024年に入ってか米国株はまずまず堅調に推移していますが、アメリカ経済を支えている他の分野(たとえば、サービス業、個人消費、雇用)で何か崩れると雲行きが一気に怪しくなることはあると思います。
よって、今はまだ差し迫ってはいないものの、アメリカの景気の悪化はこれから半年から1年の間に起こっても不思議ではない状況だと思います。
さて、先週まではインフレのデータを見ながら、思った以上にインフレが根強いという話をしました。そして、この記事ではアメリカの景気は盤石ではないという話をしました。
可能性としてはまだ低いと思うのですが、物価の伸びが高いまま景気が悪化するスタグフレーションという状況も頭の片隅においたほうがいいかもしれません。
手始めに、スタグフレーションの場合には何に投資したらいいかは調べておこうと思います。