あと何日もすると10月になり、9月のアメリカの景気を伝えるデータが続々と発表されます。
しかし、他のデータよりも一足先にIHSマークイットから9月のアメリカ企業の景気の強さを数値化したデータが発表されているので、ここで取り上げたいと思います。
前月のIHSの結果から既にアメリカ企業の景気拡大のペースは弱まってきていることを記事にして伝えていますが、今月も残念ながらその傾向が続いているようです。
5月までのアメリカの景気はとてもとても良かったのですが、そこからサービス業を中心に景気が急減速しているようです。
この記事のポイント
- IHSによると、アメリカ企業の景気は5月にピークをつけて、9月にかけて景気拡大のペースが鈍くなっている。
- 製造業はまだ健闘しているものの、サービス業は景気拡大ペースの鈍化が著しい。
- アメリカで新型コロナウイルスが再流行がサービス業の景気に悪い影響を与えているようだが、直近の感染のピークは既に超えたので10月以降にサービス業が持ち直すのかに注目。
景気拡大の勢いがゆるやかになってきたアメリカ企業
投資家のなかでは、アメリカ企業の景気の強さを見るために、ISMから毎月出ているデータ(ISM製造業指数とISM非製造業指数)をチェックしている人が多いです。
しかし、ISMは毎月の1週目にデータを発表するのに対して、IHSは同じようなデータを1週間ほど早く発表するため、IHSのデータを見れば少し早く傾向を掴むことができます。
9月のアメリカの企業の景況感の数字が既にIHSから発表されましたが、結果はあまりよくなかったです。
- 結果:54.5(前回:54.4)
- 予想:58.3
結果が予想を下回ったことも良くないのですが、問題はこの数カ月間の傾向です。
次のグラフを見ると、景気の強さは2021年5月にピークをつけて急速に弱まっているように見えます。
唯一良かった点は、弱回るペースが9月はやや落ち着いたかなと思う程度です。
低調の原因はサービス業
6月以降、アメリカの景気拡大のペースが急速に鈍っている要因は何かが気になるところです。
製造業とサービス業の景気を別々に追いかけてみると、この数ヶ月でサービス業が失速していることがひと目で分かります。
IHSのレポートでは、アメリカ企業全体の9月の新規受注は約1年ぶりの2020年8月以来の弱さだったのですが、製造業とサービス業では明暗がはっきり別れたようです。
製造業かなり好調だったのですが、新型コロナウイルスの懸念があったためにサービス業の新規受注の伸びは14か月ぶりの低調だったと言います。
今後は少し持ち直しが期待できるが、2021年5月ほどではない
ここまで、2021年9月のアメリカの企業は景気拡大は続いているものの、それほど良くなかったという話をしてきました。
アメリカでは8月頃に見られた新型コロナウイルスの再流行などの影響で、対面や体験型のサービスを中心に景気拡大ペースが落ちた模様です。
しかし、最近のアメリカの新型コロナウイルスの感染者数を追いかけていると、既にピークをつけているのでこれからはサービス業の景気も持ち直すかもしれません。。
ただ、サービス業の景気は持ち直すとしても、5月のような絶好調の状態にはもう戻らないとも思っています。
1月と3月にはアメリカ政府から給付金があってお金がある状態だった上に、5-6月まではアメリカでの新型コロナウイルスの新規感染者数は急減していて、今まで1年近く我慢していた消費ができる開放感もあったので、2021年春のアメリカの強い景気が特別でした。
直近の新型コロナウイルスの感染拡大のピークは既に過ぎたので、この数ヶ月はサービス業を中心にまた小幅に景気が良くなると思います。
しかし、その小幅な景気拡大の加速がなかったり、小幅に上昇した後に再び景気拡大ペースが急速に鈍化する場合には、少し注意が必要かもしれません。(景気回復があまりに鈍いと、ひょっとすると金融緩和の縮小もシナリオも後ろ倒しになるかもしれません。)
近々発表されるはずのISMのデータもあわせて、今後も景気の善し悪しを見ていこうと思います。