6月も下旬になり、第2四半期の最後の月も終わりに近づいています。
アメリカの本格的な景気回復は3月から始まりましたが、データを見ている限り、6月も引き続き景気は強かったようです。
投資家からはあまり注目されていないのですが、 IHSマークイット社がいち早く6月のアメリカ企業の景気指数(景況感)を発表しているので、そのレポートからアメリカは好調な景気が続いたことを確認していこうと思います。
この記事のポイント
- 6月もアメリカの景気はかなり強かった。
- 製造業の景気指数は歴代最高を記録。サービス業はややトーンダウンしたものの高い水準が続いている。
- 2021年第2四半期で米国経済はピークをつけた可能性はある。一方で、しかしインフレ圧力はまだ強く、ピークは景気に遅れてやって来るかもしれない。
IHSマークイットの景気指数をみる意味
IHSマークイット社は毎月アメリカの企業の景気を調査して、景気の強さを数値化してデータを発表しています。
IHSマークイット社のデータよりも注目度の高いISMのデータを見て、景気を判断する人も多いと思います。
ただ、IHSマークイットのほうがISMよりも少し発表が早いので、いち早く景気の強さを知るために、私もたまにIHSマークイットの数字を確認しています。
6月もアメリカ企業の景気は強かった
6月23日に発表された最新のIHSマークイットの景気データを確認してみると、6月もかなり好調だったことがわかります。
50を下回ると前月よりも景気を悪化していることを示しますが、どの数字を見ても50を大きく超えています。
6月のIHSマークイット景気指数(速報値)
- 総合指数:63.9(前月は68.7)
- サービス業:64.8(前月は70.4)
- 製造業:62.6(歴代最高値を更新、前月は62.1)
サービス業で前月よりも数字が悪くなっているために、総合指数も前月よりも悪化していますが、それでもコロナ前の数字よりもずいぶん高い状態が続いています。
製造業に至っては6月は歴代最高値でした。
詳細はIHSマークイットのサイトでレポートを確認できます。
この中でIHSのエコノミストがアメリカの景気について語っているコメントが少し興味深いので、ポイントを絞って紹介します。
IHSマークイットのコメント
- アメリカ経済は6月も成長をとげ、前例のないほどの成長を遂げた第2四半期の最後を締めくくった模様。
- 製造業でもサービス業でも生産と仕入の成長が鈍化しているが、景気が冷えたわけではなく、問題は企業が注文をさばききれていない点にある。
- 第2四半期でアメリカ経済はピークをつけるかもしれないが、インフレ率がピークをつける保証はない。
ここで面白いなと思うのは、経済の成長は鈍化するかもしれないが、インフレはまだしばらく続くかもしれないという点です。
増える需要に企業が対応しきれないので経済成長率は鈍化してピークをつけるかもしれない一方で、単価を上げてもモノやサービスが売れるのでインフレのピークはまだ先という考えのようです。
さいごに
この記事では、IHSマークイットのレポートを見ながら、6月のアメリカの好調ぶりを確認しました。
4-6月は総じて好調が続いたので、投資家としては7月に発表される決算が楽しみです。
景気はこの第2四半期でピークをつけるかもしれないですが、まだインフレのピークはしばらく続くという指摘も面白いと感じました。
その背景にある主な理由が需要が強いためというのが正しいなら、インフレはまだ悪いものではないように見えます。
また、私は先日の記事でも書いたように、インフレがピークをつける前からインフレに強い銘柄は少しづつ売却して、景気拡大スピードが減速しても強い銘柄を取り込もうと思います。
景気のサイクル毎にどの業界株が伸びやすいかは以下の記事でも書きましたが、景気拡大終盤から不況でも強い銘柄(ヘルスケア・生活必需品・公共あたり)を少しずつ増やす考えです。
景気サイクルごとにどの業界株が強いかを調べるサイト【ビジネスサイクル・アップデート】
「今は景気の波のどこに位置しているのか」を把握し、「景気サイクルごとに、過去はどんな業界株が有利なリターンを上げたか」の知識を正しく持つことは重要です。この2つの手助けをしてくれるサイトを、この記事で紹介します。