米中の貿易戦争の逆風を受けながらもファーウェイは、2019年上半期の売上高は4013億元(582.6億ドル)前年同期比23.2%を記録しました。プレスリリースでも、ファーウェイの業務は「これまでどおり健全である」と述べています。
この決算の数字を始めてみたときには予想外の順調な業績ぶりに「どうなっているんだ、この会社は。」と思いましたが、冷静になって考えれば、米国企業のフェーウェイ包囲網が敷かれたのは5月の中旬から下旬にかけてだったので、2019年上四半期の決算への影響は限定的だったと思われます。
5月当時の米国企業のファーウェイ包囲網はこちらを参照:狭まるファーウェイ包囲網、米中貿易戦争は未だ出口見えず。
米国、オーストラリア、ニュージーランド、日本が、次世代通信規格の5Gでファーウェイの技術を使うことの制限している影響は、2019年下半期以降の業績に現れるものと思われます。
順調だったネットワーク機器販売
2019年の売上で項目を見てみると、5G関連のネットワーク機器と、中国でのスマホ販売が順調だったようです。
ネットワーク機器を販売しているファーウェイのキャリア事業の売上高は全体の1/3を占める1,465億元でした。また、今後何年にも渡って、通信業界の重要なポジションを占めることになる5Gの通信機器は、既に50以上の世界中の大手電気通信会社と契約をしていると発表しています。
中国市場で一人勝ちの様相を呈してきたファーウェイのスマホ
5Gネットワーク機器以外に順調だったもう一つのスマホは、中国市場で一人勝ちの様相を呈してきています。
まず、出荷台数は2019年上半期だけで前年比で24%増加の1億1,800万台を叩き出しています。もはや「半年間で売った台数=日本の人口」です。
なお、中国のスマートフォン市場は同期比で9四半期連続で縮小してます。それにも関わらず、出荷台数で24%増加している点は特筆に値します。以下は、調査会社のCanalysが発表した中国のスマホ市場のデータです。
次の表で一番右のAnnual growth(年間成長率)を見ると、ファーウェイが2位以下を引き離している様子がわかります。
ちなみに、上の表でアップルのiPhoneが中国市場で年間成長率-14%というのも気になるところです。最後にシェアの推移を見ると、ここでもファーウェイの一人勝ちの様子が見て取れます。
さて、この記事では本来であれば、米中貿易戦争のファーウェイの業績への影響が見たかったのですが、2019年上半期の決算では、ほぼ影響がないように見えました。
その代わり見えてきたのは、5Gをテコにして世界の通史機器メーカーに対して売上を拡大させている様子、さらには中国スマホ市場でのファーウェイの一人勝ちの様子でした。2019年下半期に、ここで見ていた数字がどのように変わるのかも、確認したいと思います。