低調な利益が予想されるS&P500
10月15日からいよいよ2019年第3四半期の米国企業の決算シーズンが始まります。
実は、今期S&P500の企業は全体的に前年に比べて低調な売上・利益と業績になるのではないかと、見られています。Factsetがまとめたアナリスト予想は、S&P500全体で第3四半期の売上は前年比わずか2.7%増、利益はマイナス4.6%とあまり良くない数字が並びます。
- 一株利益(EPS):前年同期比-4.6%を予想。(もしも、マイナスになると2016年2Q以来の3四半期連続のEPSマイナス成長)
- 売上(Revenue):前年同期比+2.7%予想。
上のグラフを見るとわかりますが、売上と利益で、S&P500全体の足を大きく引っ張っているはエネルギーと素材セクターのようです。一方で、ユーティリティ(電力事業者など)や、ヘルスケアセクターは順調で、景気に左右されにくい堅実なセクターが順調に売上と利益を伸ばすと見ているようです。
過度な心配は無用
しかし、S&P500の利益予想が前年比マイナスだからと言って、それほど身構える必要もないと考えてます。
その理由は(1)利益のマイナス予想幅は前期の2019年2Qとほぼ同水準で、2019年2Qと同じような決算になる可能性が高いこと、さらに(2)既に2019年3Q決算を発表した企業は順調な滑り出しをしていることです。
理由(1)2019年2Qと同程度の利益減少が予想される2019年3Q
以下のグラフは、直近のS&P500の利益の四半期ごとの変化を表していますが、2019年3Qは利益がマイナスが予想されるものの、2019年1Qや2Qと同程度だということがわかります。
理由(2)既に順調な滑り出しを見せた2019年3Q決算
また既にSP500で決算を発表している企業を見ると、2019年3Qは順調な決算を報告している企業が多いです。
決算発表した23社のうち、アナリストの利益予想を上回った企業は21社、売上予想を上回った企業は約半数の12社でまずますの滑り出しをしています。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチによれば、決算シーズン序盤の好調が後半も続く傾向は82%の高確率で起こるそうで、このデータ通りなら、第3四半期は過度な心配は必要なさそうです。
また、1年前に比べて金利水準(10年国債利回り)も大きく低下しているので、前年より利益が低くても株価の適正価格は高くなっていると予想されます。金利の面から見ても、2019年3Qの決算で株価はさほど心配はいらないと考えています。
金利が下がれば、株価があがる仕組みはこちらの記事参照:
【中級者向け】割引率って何?金利が下がると株価が上がる仕組みとは。
というわけで、通常の決算通り、売上と利益の結果がアナリスト予想を超えていけるかを見ていけば良さそうです。
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最後に、今日見てきたFactsetのS&P500の売上・利益予想のダンロードの仕方を紹介したいと思います。まず、次のリンクをクリックしてFactsetのInsightのEarnings関連の記事一覧を表示します。
Factset Insight “Earnings関連トピック一覧”
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またこの記事を書いている段階での最新のレポートは10月11日発行のものですが、この日付のもので良ければこちらから直接ダウンロード可能です。