ファイザーとバイオンテックが作った新型コロナウイルスのワクチンは、ついにアメリカ政府から使用許可がおりました。
>>米がファイザー製ワクチンの緊急使用を許可、近く接種開始(ロイター)
イギリス、バーレーン、カナダに続き、アメリカでもこのワクチンは科学的に安全で有効だと示されたことになります。新型コロナウイルスはこれで収束に向かって動き出す可能性があります。
ワクチン接種が広まれば新型コロナが収束すると決まったわけではないのですが、重大な局面は1つ超えたようです。なので、2020年の新型コロナウイルスは株式市場にどんな影響を与えてきたのか、今後の株はどうなるのかをこの記事で一旦まとめてみたいと思います。
この記事のポイント
- 新型コロナウイルスが流行後にFRBの国債購入もあって、まず米国債高が起こった。その後、景気対策のカネ余りを背景に、投資家の資金は史上最高に割高な国債から株に流れて、景気を先取りした株価が回復が続いた。
- 既に国債の価格はピークをつけたが、株のピークはまだこれから訪れると個人的には考えている。割高な国債から株に資金に移る流れがまだしばらく継続しそうなため。
新型コロナウイルスの流行下で株高が起こった仕組み
2020年は新型コロナウイルスで経済が大きく停滞しました。
米国株も2020年3月こそ大きく下落しましたが、急回復して史上最高値を更新しています。
景気の回復していない時点で、これだけ株価が回復した仕組みは次のようになっていたと思います。
- 【STEP1.不況突入】:新型コロナウイルスの悪影響を受けて、アメリカは約10年ぶりの不況に突入した。
- 【STEP2.国債高】:2020年2-3月に投資家は不況に弱い株を売って、安全資産の国債を買った。また、景気を支えるために中央銀行FRBが国債を大量に購入した。その結果、まず国債が歴史的な割高な資産になった。
- 【STEP3.国債高から株高へ】:コロナの株下落が落ち着いた2020年4月から、景気対策でカネ余りになっていたアメリカの投資家の資金は国債に比べて安い株に向かった。こうして景気よりも早く、株価が回復した。
結局、コロナの前から割高だった米国株は2020年にさらに割高になりました。過去に今以上に割高な状況だったことは、2000年のITバブル期以外にはなかったと記憶しています。
今後はまず国債高の解消へ
さて株高の原因を作った国債の高値ですが、既にピークをつけていて価格が下落しているように見えます。
以下のグラフを見ると、アメリカの10年国債の利回りは一時期よりも上昇しています。
利回りが上昇すると国債の価格が下落していることを意味するので、既に国債の価格はピークをつけて下落しているようです。
またこれからはワクチンの効果で新型コロナウイルスが収束に向かい、景気が回復するはずです。景気が良くなれば安全資産の国債は売られるはずなので、今後はさらに国債の価格は下落すると思われます。
株高はしばらく続くと考える理由
株高の原因を作った国債はすでにピークをつけて下落しているようです。しかし、だからと言って、私は株価がすぐに下落するとも考えてません。
現時点では国債を売ったとしてもその資金の置き場所は、株くらいしかないからです。
例えば、アメリカの社債を見ても、今は史上最高に利回りが低くて買いづらいです。また、これから景気が良くなってインフレ率が上昇するなら、現金のまま保有していたのでは、価値が下がってしまいます。
一方で、株もたしかに割高ですが、まだ歴代最高の割高ではありません。
また、以下のグラフのように国債に比べればまだ株のほうが長期で期待できるリターンも高いので、国債を売った資金の預け先としてまだ株は有力候補になると思います。
あくまでも私の予想ですが、今後しばらくは国債が売られても、その資金は株に流れるのだろうと思います。
この動きが今後数ヶ月続くのか、それとも1-2年続くのかはわかりません。
次第に、株の期待リターンが国債に近づいて、これ以上株が割高になったら買えないと投資家が思うまで、株は買われるのだと思います。その頃には、株は史上最高の割高になるのもしれません。その別名はバブルと言います。
米国株は恐らくバブルに向かっていると思います。