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FRB2%超えのインフレ容認は、株・国債・ゴールドの価格にどう影響するか。

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アメリカ中央銀行FRBのパウエル議長の講演が注目を集めました。

FRB、2%超のインフレ容認 新戦略公表 最大雇用に重点(ロイター)

詳細は上のニュース記事に任せるとして、ポイントは何だったかを考えると「アメリカのインフレ率が目標の2%を一時的に超えてもOKだと考えを改めたこと」、「雇用の回復には時間がかかるが、それまでの長い期間は政策金利をゼロのままにする可能性が出てきたこと」の2点です。

それだけ言われても、株や国債やゴールドの価格にはどういう影響が出やすいのか見えにくいので、この記事でその影響について考えてみました。

この記事のポイント

  • 今回パウエル議長の講演の影響は、短期金利と長期金利で影響が異なる。短期金利はゼロのままで、長期金利は上がりやすくなった。
  • 【株への影響】:銀行株が上がりやすくなった。銀行は短期金利と長期金利の金利差でかせぐ商売なので、長短金利差が拡大して利益が出しやすくなった。緩やかなインフレであれば他の業界の株にもプラス要因だが、行き過ぎた長期金利の上昇になると株価にはマイナス。
  • 【国債への影響】:長期国債が売られやすくなった。インフレが進むと長期国債の投資リターンが減るため、投資家が売った。ただし、急激な金利上昇はFRBは許さないはずなので恐らく長期国債の売りは限定的。
  • 【ゴールドへの影響】:まちまち。インフレ率が上がるのは金にとってプラス、でも長期金利が上がるのはマイナス。インフレと金利どちらの影響が大きいかによる。

もしも今回のパウエル議長の発言を受けてどうしても何か投資でアクションを起こしたいなら、今まで上昇してきた株の儲けの一部を少しだけ銀行株に移すくらいです。

また、長期国債を持っている人は、しばらくは売られやすくなっている点には少し注意したほうが良いかも知れません。

短期金利はゼロのまま、長期金利はやや上がりやすくなった


今回のパウエル議長の講演で株やゴールドにどのような影響が出るかを考えるには、短期金利と長期金利の影響をわけて考えるとわかりやすいです。

まず、講演では雇用が戻るまでゼロ金利を維持すると取れる発言がありました。短期金利は政策金利に強く影響を受けるので、短期金利もしばらくゼロのまま抑えられることになりそうです。

また、パウエル議長は2%を少し超えるインフレでも黙認すると言ったので、これから2%を超えるインフレになる恐れも出てきました。せっかくの国債を保有していてもインフレのせいで実質リターンが減ってしまうことになると考えた投資家たちは、インフレの影響を受けやすい長期国債を売却する動きに出ています。

これにより、長期金利が上昇する現象がパウエル議長の講演後に起こりました。

まとめるとこんな感じです。

項目 講演後の影響
短期金利 ゼロのまま変わらず
長期金利 上昇しやすくなった
長短の金利差 拡大しやすくなった

株・国債・ゴールドへの影響


さて、長期金利と短期金利の影響を整理できたので、最後に株・国債・ゴールドへの影響を見ていきます。

銀行株は上昇しやすくなった

今回のパウエル議長の発言を受けて、銀行株は上昇しやすくなったと思います。

銀行は低い短期金利で資金を集めてきて、住宅ローンなどの高い長期金利で貸し出すビジネスをしているので、短期金利と長期金利の差が大きいほど利益が出る仕組みになっているからです。

ただし、長期金利が上昇しやすくなったことは銀行株以外の株では、ゆくゆくはマイナスに働きます。長期金利が上昇しきった後は、長期国債の投資のリターンが増すことになるので、株から国債に資金を移す投資家も出てくるからです。

長期国債は売られやすくなった

既に上でも見たように、しばらくは長期国債は売られやすくなってると思います。

ただし、急な国債価格の下落はFRBも望んでいないはずなので、大きく売られたらFRBが国債を買い支えて下落は落ち着くと思われます。

ゴールドはインフレと金利上昇の強弱しだい

ゴールドについては、今回のパウエル議長の発言の影響はまちまちです。

長期金利の上昇はゴールドの価格にとってマイナスですが、インフレ率の上昇はプラスに働くからです。長期金利とインフレ率の上昇のどちらの影響が強く現れるかで、今後のゴールドの価格は変わります。

短期的にはゴールドの価格は乱高下するかもしれませんが、長期金利が上昇してもインフレ率もゆっくりと同じ程度進行する余地があると思っているので結果的にゴールドの価格はあまり変動しないと思っています。

さいごに


この記事ではパウエル議長の2%超えのインフレ率を認める発言が、株・国債・ゴールドにどう影響するかを考えていきました。

このパウエル議長の発言で長期金利は上昇しやすくなり、その影響で長期国債や銀行株以外の株はやや売られやすくなる可能性がありますが、過度な心配はいらないとも思っています。

国債や株が一気に売られるような金利の上昇はFRBが許さないとも思うからです。もしも、急な長期金利の上昇が見られたら、FRBは長期国債を購入してそれを止めに走るはずです。

なので、急いで何か行動を起こす必要もあまり感じていません。


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