2019年にFRBが株価を引き上げた仕組み【わかりやすく解説します】

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2019年11月のアメリカ株は絶好調で最高値を何度も更新しています。

10月は「米中貿易協議が部分的な合意に近づいた」という明るいニュースに反応して、株価が上がっているというわかりやすい展開でした。でも「11月に入ってからは貿易協議は行き詰まっているのに、なんで株価が上がるの?」と思うかも知れません。

その疑問に答えるのがこの記事です。結論を一言でいうと、”中央銀行のFRBが金利を引下げたから、株が上がった”という話です。

ただ、いきなり結論を言われても、「何をして金利を引き下げたの?」「FRBがコントロールできるのは短期金利じゃないの?」「短期金利が下がるとどうして、株価があがるの?」と次々と疑問がでてきます。

できるだけ難しい用語を使わずに、2019年にFRBが何をやって株価が上がったのかの仕組みを説明したいと思います。

ポイントはこちらです。

  • FRBは「政策金利の3回の引下げ」と「短期国債の大量購入」で短期の金利を下げることに成功した。
  • 短期金利につられて、長期金利も11月からやや下がり始めた。
  • 長期金利が下がれば、株価の評価価値があがるため株高になっている。

2019年FRBがやったこと

そもそもですが、アメリカの中央銀行のFRBが最近何をやっているのか、お話します。やったことは次の2点です。

  • 景気を良くするため政策金利を3回合計0.75%引下げた。
  • 9月から短期国債を大量に買いはじめた。

その他、2019年には「年初に利上げの停止の発表」や「8月までで資産縮小の停止」などもしているのですが、2019年年末の株高とは直接関係しないので、この記事では触れません。

3回の政策金利引下げ

既に知っている人も多いと思いますが、FRBは景気を支えるために2019年に3回の利下げをしました。

金利を引き下げれば、企業が借金をしやすくなって事業を拡大しやすくなるし、一般人も住宅ローンなどで大きな買い物をしやすくなるので、景気が上向くなどの効果があります。

市場には短期金利と長期金利がありますが、政策金利の引下げは、短期の金利を引き下げることができます。

3回の利下げで短期金利を引下げた

リーマン・ショック時に迫る短期国債の国債購入

また、政策金利の引下げ以外にFRBは9月からしれっと大量の短期国債を買っています。

「超短期の金利が急上昇してしまったので、安定させるため」といっていますが、この資産購入プログラムの金額はリーマン・ショック時の同じ規模で、国債を買っています。

以下は、リーマン・ショック以降のFRBの国債購入(量的緩和:QE)と2019年資産購入プログラムの金額の比較です。

政策 時期 規模
QE1 2008-2010年 20ヶ月で総額17250億ドル(平均860億ドル)
QE2 2010-2011年 月750億ドル
QE3 2012-2014年 月850億ドル
資産拡大 2019-2020年前半 月600億ドル

なるほど、凄まじい勢いですね。

ただし、FRBは「今回は短期国債だけを買って短期金利を安定させているだけですよ。長期国債も買っていたリーマン・ショック時のQEとは違います」とあくまでもQEではないと主張をしています。

ただし、短期国債の購入だけでも効果ははっきり出始めています。超短期金利(期間は翌日レポ金利)は、一時期荒れて5%台まであったものが安定して、1.5%程度まで下がっています。

データ元:FRED(FRB)

短期国債の大量購入で、短期金利を引下げた

金利が下がると株価はあがる

さて、株式投資家として有名な鉄則があるので、それをここでご紹介します。

「金利が下がると、株の適正価格があがる」というものです。

仕組みを理解するには高校生の数学の知識が必要で、それを書いているだけで1記事になってしまうので、数学が得意だった人はこちらの記事を参照して下さい。

【中級者向け】割引率って何?金利が下がると株価が上がる仕組みとは。

今までFRBが「政策金利引下げ」と「短期国債購入プログラム」で金利を引下げたことをお話しました。その上で、この鉄則を使うと「FRBが金利を引き下げたから、株価が上がったんだ」とわかります。めでたし、めでたし。

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あれ、ダメですか?「論理の飛躍がある」ですって?

そうですね。一番大きな論理展開の飛躍は「FRBが引下げたのは短期金利で、株価の評価額を左右する長期金利(10年国債利回り)じゃないこと」でしょう。少し細かい話になるので説明を伏せていたのですが、あと1分ほど、この記事にお付き合いください。

短期金利につれて、長期金利も下がった仕組み

FRBは毎月短期国債を600億ドルも購入していますが、短期国債を持っていた銀行や投資家から買い取っています。つまりに、市場はたくさんの国債をFRBに売って、毎月600億ドル分の現金を手にしています。

投資をやっている人ならわかりますが、このまま毎月600億ドルを現金でもっているわけがありません。現金は一番リターンが低い資産だからです。なので、この大量の現金は長期国債や株が買われる資金になります。

長期国債も買われていれば、10年国債利回りが低下しているはずなので、その様子を見てみましょう。2019年11月10前後をピークに、遅ればせながら下がり始めています。

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まとめ

この記事では2019年のFRBの取り組みで、なんで米国株が上がっているかの仕組みを紹介しました。上にも書いたポイントを再掲します。

  • FRBは「政策金利の3回の引下げ」と「短期国債の大量購入」で短期の金利を下げることに成功した。
  • 短期金利につられて、長期金利も11月からやや下がり始めた。
  • 長期金利が下がれば、株価の評価価値があがるため株高になっている。

先程読んだときよりもスッキリ理解できるようになっていれば、この記事の目的は達成です。


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