昨日からこの1年間を振り返る以下の記事を書いていますが、今日はその第2段です。
世の中の投資家の関心はアメリカのインフレと金融緩和の縮小がメインで、コロナには興味も恐怖感もなくなっているように見えますが、経済に影響を与えているのでこれからも注意しておいたほうが良いと私は思っています。
しかも、新型コロナウイルスが与える経済への影響は2020年から2021年にかけて変わってきているようにみえるので、この記事ではその影響の移り変わりについて書いていきます。
この記事のポイント
- 2020年前半:新型コロナウイルス流行は歴史的な景気の悪化を招いた。
- 20年後半以降:コロナが流行しても雇用の伸びの鈍化などの景気回復の遅れくらいしか景気に影響しなくなった。
- 21年半ば以降:コロナの流行はインフレを長引かせる要因になっているように見える。
2020年新型コロナ流行初期
新型コロナウイルスが世界中で流行しだした2020年3月を思い返してみましょう。
この頃はワクチンはもちろんなかっただけではなく、どのように感染を防げばいいのか、どのように治療をすればいいのかが全くの手探りだったため、世界中の国で外出を抑える動きが見られました。
人の外出だけでなく、店舗の営業も大きく制限されたので、経済活動が一気に止まって大規模な不況が一気に訪れました。
この頃の新型コロナウイルスへの経済の影響は、「不況」というすごくわかりやすく形でやってきました。
企業の利益は落ち込んで株価も急落したので、投資家もコロナに高い関心を払っていました。
2020年後半以降
しかし、新型コロナウイルスの治療法に進展が見られたり、ワクチンができて免疫を身につける人が増えると、コロナが流行しても店舗の閉鎖や外出を制限することも少なくなりました。
新型コロナウイルスが流行しても経済を大規模に止めることがなくなったので、大きな景気低迷はなくなりました。
実際にデータを見てみると、アメリカでは第1波の2020年4月以降に何度も感染拡大は起こっていましたが、しかし、実質GDPの伸びは第1波のときのように、大きくマイナスに転じることはありませんでした。
なので、2020年後半から投資家はコロナの感染者数に注意を払わなくなったと思います。
しかし、新型コロナで不況になることはなくなりましたが、もっと地味なところでコロナは景気に影響を与えているようです。
例えば、新型コロナウイルスの感染者が急増していた頃には、アメリカの雇用の伸びは鈍化していることがわかります。
その他にも、コロナ流行時には航空や旅行関係などのサービス業の業績回復が遅れる傾向が見られるなど、景気回復の鈍化が見られるようです。
2021年半ば以降
新型コロナウイルスは2020年前半には不況をもたらし、20年後半以降は景気の鈍化を招いたと書きましたが、21年半ば以降は少しまた違った影響が見えるようになってきました。
どうも新型コロナウイルスの長期化が、アメリカでインフレ率を押し上げているようにも見えるのです。
コロナがアメリカの物価を押し上げる要因に
- 2021年のアメリカは企業の景気が良くて人手不足だったが、コロナが流行すると求人をかけても応募が来なくなるので、賃金が上昇した。
- コロナが流行するとネット通販などを中心にモノの需要は増えるが、輸入先の新興国で感染者が増えると生産が追いつかなかったり物流が追いつかず、物価が上昇した。
そして最近では少し困ったことに、コロナの変異株(オミクロン株)が世界的に流行しています。
2020年4月のような大きな不況になることはないと思いますが、景気の鈍化やインフレ率の上昇という形でじわじわとアメリカ経済に影響するのだろうと思います。
ファイザーは2024年までにはパンデミックは終わるかもしれない(完全に消えるのではなくインフルエンザのような存在になりうる)と言っています。
>>Pfizer executives say Covid could become endemic by 2024(CNBC)
この手の予想は専門家でも難しいと思いますが、少なくとも来年2022年も新型コロナウイルスは景気に影響を与えそうなので、どんな影響を与えるかに注意して見ていきたいと思います。