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まだ米国株は底を打っていない

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2022年低迷していた米国株ですが、最近ではアナリストや投資家から「下落は止まった」「底を打った」という声を聞くことが多くなりました。

ただ、私は米国株の下落はまだ始まったばかりだと思います。

2022年はアメリカは高すぎる物価の伸びを抑えるために中央銀行のFRBは政策金利を引き上げるなどの金融引き締めをしていて、その悪影響を心配して株価は今まで下落していました。

しかし、肝心のインフレはまだまだ抑え込めているようには見えず、インフレを抑えるためには金融引き締めはかなり長い期間続く必要があります。

この記事のポイント

  • 2022年の株価の下落はこれからの急激な政策金利の引き上げを見越したもの。
  • 2022年3月から高いインフレを抑えるために利上げは始まったがインフレは続き、金融引き締めが株価を下げる構図も続く。

冒頭でほとんど結論を書いてしまったので、ここから先は根拠としてインフレがまだ2%に向かって収まっているように見えないことを主に書いていきたいと思います。

まだまだインフレが2%目標達成にほど遠いなら、金融政策の引き締めは続き、株の下落は続くという話になります。

まだまだ遠いインフレ率2%目標


少し前を振り返ると、2022年3月からFRBは3年ぶりとなる利上げをして、アメリカの高いインフレを抑えようと行動に出ました。

また、6月からFRBが保有していた債権を処分することで景気の過熱を抑えようとする動きも始まっています。

>>【関連記事】アメリカ、3年ぶりの政策金利引き上げ。

さて、この3月から始まった利上げで何か効果が見られたかというと、当然ながらまだ何も効果が見られません。

次のグラフは原油価格ですが、ロシアとウクライナとの戦争で一時的に価格が急上昇する場面はありましたが、基本的にはそれよりも前から起こっている上昇トレンドが続いています。

小麦価格など最近になって下落が見られるモノもありますが、ロシアとウクライナの戦争で上昇した分が落ち着いているだけで、以前からの価格の上昇トレンドよりも高い価格が続いています。

これから上昇が見込まれるモノもある

エネルギー価格は先物価格が上昇するとすぐに消費者物価も同じように上昇するのですが、一方で値上げの波が消費者に届くまでに時間がかかるモノもあります。

例えば、アメリカの食料品価格は小麦の先物価格よりも何ヶ月も遅れて上昇するので、食料品価格が上昇するのはまだこれからのはずです。

また、消費者物価の住居費(Shelter)は、近年の住宅価格の上昇から1-2年遅れてピークを付ける傾向があるので、まだまだこれから住居費が上昇する可能性が高いです。

アメリカの消費者物価の伸びは前年比でピークをつけたかも知れないと言われていますが、食料品や住居費などのようにこれから物価が上がるものがあることを考えると、素直に物価が落ち着くのではなく高止まりを続ける可能性が高いです。

なので、アメリカのインフレが収まるまでにはまだかなりの時間がかかると思われます。

金融政策はまだ続く

中央銀行FRBの高官の何人かは「物価が2%目指して落ち着くまで、金融政策を緩めない」という主旨を発言をしています。

上で見たように、2%よりも高いインフレが長続きしそうなことを考えると、インフレを抑えるためには金融政策もまだかなり長い時間をかける必要がありそうです。

問題はこれから長く続くはずの金融引き締めに、景気や株価が耐えられるかです。

現時点でS&P500は最高値から13%しか下落していませんが、40年ぶりのインフレを抑えるための金融引き締めがこの程度の株価下落しか引き起こさなかった場合には驚きだと思っています。

なので、私は米国株は底を打ったとは思いません。むしろ株の下落はまだ序盤に過ぎないはずです。


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