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【2019年4Q決算】ゴールドマン・サックス、売上高成長も訴訟費用が響く。

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ゴールドマン・サックスの2019年10-12月期の決算が発表されました。ただ、多額の訴訟費用が発生した影響で利益が良くなかったです。

時間外で株価は-1.1%下落して反応しました。

この記事のポイント

  • 2019年10-12月期の決算は、アナリスト予想を下回る良くない結果だった。
  • 収益は23%増加したのは好材料だったが、訴訟費用が発生して利益は22%減少した。
  • 2019年10-12月期から会計報告の部門が変わった。各部門ごとの売上を追っている投資家は注意。

2019年10-12月期の決算結果

ゴールドマン・サックスの2019年4半期の結果を振り返ります。

  • 一株利益:5.45ドル予想を下回る、4.69ドル(前年比22%減少)
  • 収益:8.56Bドル予想を上回る、9.96Bドル(前年比で23%増加)

この数字を最初に見たときには、「何が起こっているのか」と思いました。ゴールドマンサックスほどの規模の大きな企業で前年比で売上が23%増加しているのに、利益が22%も減少することは無いからです。

原因を調べてみると、どうも訴訟費用が大きく利益を圧迫したようです。ゴールドマン・サックスは元幹部が、マレーシア政府系ファンド「1MDB」の汚職に関わっていたとして捜査を受けています。

もしも、訴訟がなかった場合の一株利益は7.64ドルなので、予想の5.45ドルを大きく上回っていたはずです。

非常にもったいないですね。訴訟さえなければ、大幅な増収増益で良い決算だっただけに悔やまれます。

新部門での決算報告

さて、ここからはゴールドマン・サックスの部門別売上を見ていきたいのですが、ちょっと面倒なことに今回の決算報告から部門の区切りが変更されました。

ゴールドマン・サックスがプレスリリースでも詳細が書かれています。

Goldman Sachs Announces New Business Segments(公式サイト)

上のプレスリリースの書き方は、どうにも1回でスッキリ理解できず何回か読み返しました。なんとか理解した気にはなんたのですが、新部門の区分はこちらのようになっています。

新セグメントの区分

  • 投資銀行:企業向けに買収・事業売却などの助言を行う他、株や社債を使った企業の資金調達を支援。
  • グルーバル・マーケット:機関投資家向けに、株・債権・通貨・商品の販売仲介をする。
  • 資産管理:ゴールドマン・サックスの資産を運用・管理する部門。株投資や企業への資金の貸し出し・ローンなどを含む。
  • 消費者&富裕層:クレジットカードなどの消費者向け業務の他、富裕層向けに金融商品の助言や資産管理や行う。

どの企業でも決算を見ていても「あれ?この部門名って、何の売上が入っているんだっけ」と思うことがよくあります。

本当はこうした部門の変更は慣れるまで決算書が読みにくくなるので嬉しくないのですが、今のビジネスに合わせた売上報告をするためには仕方ないのかもしれません。

部門別売上

部門(100万ドル) 4Q19年 構成比率 前年比
投資銀行 2,064 21% -6%
グローバルマーケット 3,480 35% 33%
資産管理 3,003 30% 52%
消費者・富裕層向け 1,408 14% 8%
合計 9,955 100% 23%

部門別に売上を見ると、一番の稼ぎ頭のグローバルマーケット部門(機関投資家への金融商品取引の仲介)が前年比+33%と大きく成長しています。この部門は全体的に調子が良かったです。株の仲介は前年比+9%成長、債権・通貨・商品の仲介は+83%成長と大きく伸ばしました。

ただ、前年比では好調ですが、2019年に入ってからの収益を見るとやや低迷しています。これは少し気がかりです。

売上規模で2番目の資産管理でも、売上成長が+52%と大きく伸ばしています。ただ、この部門は株式投資(Equity Investment)が成功するか否かで売上が決まるよう構図がありそうなので、四半期毎に売上の波がありそうです。

実際に売上の推移を見てみると、売上は4半期毎に上下の変動が大きいことがわかります。

まとめ

ゴールドマン・サックスは、訴訟さえなければアナリスト予想を大きく超えていたので、今回の決算は少しもったいない形になりました。

部門別にみると1番の稼ぎ頭のグローバルマーケットの収益が前年比33%増、2番目手の資産管理が収益52%増と大きく成長しています。

ただ、詳細に見るとグローバルマーケットの部門は4半期毎に売上が緩やかに低下している上に、資産管理は株投資の成績で売上が大きく変わるので、好調な売上のゴールドマン・サックスですが、安定感や今後の決算でも良い結果が出せるかというとやや不安な点も残る形になりました。


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