Googleの親会社のアルファベットの決算が発表されました。業績はかなり悪かったです。
7-9月のアメリカは景気後退に入っていないというのが多くの投資家の認識ですが、それにも関わらず売上が前年比わずか+6%、一株利益がマイナス24%というのは良くないです。
2023年にかけてアメリカはさらに景気が鈍化すると言われているので、アルファベット株はまだまだ苦しい時期が続きそうです。
この銘柄はまだ買わなくていいと思います。
この記事のポイント
- 7-9月期は一株利益も売上も予想を下回った。
- 景気の鈍化で広告売上が低迷した上に、ドル高で売上成長が圧迫された。また、インフレにより売上を大きく上回るコストの伸びが見られ、利益も大きく悪化した。
- 世界の景気は2023年にむけてさらに鈍化すると予想されているため、アルファベットはまだ苦戦が続く見通し。まだ株は買わなくていい。
低成長にしずんだアルファベット
アルファベットの7-9月期の業績を見ていきます。
- 一株利益:$1.05(予想$1.25)
- 売上:$69.09B(予想$70.58B)
一株利益も売上も予想を下回っています。
そして今回はそれぞれの成長率も気がかりなほど悪いです。
業績(10億ドル) | 22Q3 | 前年比 |
---|---|---|
売上 | $69.1B | +6% |
営業利益 | $17.1B | -19% |
一株利益 | $1.06 | -24% |
まず、売上は前年比でわずか6%でした。下のグラフで見ると分かるように、この1年間でアルファベットの売上成長率は急降下しています。
上のグラフにはパンデミックが起こった2020年1-3月期の業績から表示していますが、そのときは売上成長率+13%だったので、その頃よりも今は伸びていないことになります。
売上よりも拍車をかけて低迷しているのは利益です。
決算書で売上とコストの伸びの数字を拾ってきましたが、インフレでコストが上がってるのに売上が伸び悩んでいるので、利益は大きくマイナス成長になっています。
22年7-9月期 | 前年比 |
---|---|
売上 | +6% |
コスト | +18% |
ドル高と広告事業の不振
最近のGoogleの低迷には2つの要因があったと思います。一つはドル高、もう一つは広告事業の不振です。
他の企業の決算でも取り上げられていますが、ドル高はアルファベットの業績にも暗い影を落としています。
決算資料によれば、為替の影響がなければ売上は前年比+11%だったようなのですが、ドル高の影響で+6%にまで低下しています。
もう一つ目のアルファベットの低迷の要因は、景気鈍化でインターネット広告の売上が伸び悩んだことです。景気が傾けば世の中の企業は広告費を削るので、アルファベットには逆風が吹いているようです。
アルファベットには次のような部門があるのですが、広告で稼ぐ部門はことごとく低成長でした。(というよりも堅調なのはクラウドだけでした)
アルファベットのセグメント
- Google検索:検索結果画面に表示される広告の収入
- YouTube広告:YouTubeの動画に表示される広告の収入
- Google Network:Google以外の企業や個人が運営するサイトに広告を掲載して仲介手数料を取るビジネスの収入(Adsenseなど)
- クラウド:クラウドコンピューティングの利用収入
- Googleその他:YouTube定額制サービス、スマホ端末(Pixel)の売上
- Google以外の小会社:自動運転のWaymo社などグーグル以外の小会社の売上
まとめ
まとめると、今回のアルファベットの業績は「景気鈍化による広告収入の減少」と「ドル高」の影響で、売上成長が低迷した模様です。
今の時期はインフレでコスト上昇も同時に起こっているので、売上以上にアルファベットの利益は大きく低下しました。
先に決算発表をしていたスナップ(SNAP)も同様ように予想を下回る決算だったので、インターネット広告業界全体が苦しい戦いを強いられているようです。
IMFの見通しでは、2022年から2023年にかけて世界の景気は鈍化する見通しなので、まだまだアルファベットなどのインターネット広告業界は苦戦が続きそうです。