Googleの親会社のアルファベットの4-6月期の決算発表がありました。
結果は良くなかったと思います。売上や一株利益が事前の予想に届かなかっただけではなく、YouTube広告やGoogleクラウドなどの成長分野として注目を集める分野の売上も思うように伸びていませんでした。
YouTube広告の売上の伸びは前年比でわずか+5%で、成長分野と呼べる数字ではなかったと思います。
前年が好調過ぎたこともあるのでしょうか、大手ハイテク企業の決算は成長の鈍化が著しい時期に入っていると感じました。
この記事のポイント
- アルファベットは売上も一株利益もアナリスト予想を下回った。
- 今回の決算ではYouTube広告の売上成長は+5%、Googleクラウドも+36%でどちらも期待されたほどの成長ができていないことがわかった。
予想以上に苦戦した4-6月期決算
4-6月期のアルファベットの業績は悪かったと思います。
- 一株利益:$1.21(予想$1.28)、前年比マイナス11%
- 売上:$69.69B(予想$69.9B)、前年比+13%
業績が低迷の背景で、アルファベットが説明していたのは主に次の2つです。
- ドル高の影響で、米国株の売上が減少している
- 前年が好業績だったために、前年比で成長が鈍化。
今回の決算では、ドル高の影響を受けて、売上の3.7%分が為替の影響で失われたと言います。
また、前年の業績はあまりに良かったために成長が鈍化して見えているというのもあります。次のグラフを見ても、2021年のアルファベットは絶好調だったので、今年の伸びは去年に比べるとかなり小さくなります。
2021年は第2四半期が成長率のピークでしたが、2021年通じてかなり好調だったため、今年の前年比成長率はこれからも厳しいものになるという発言が決算発表でありました。
YouTube広告の不調
アルファベットの決算は、以下のセグメントに分かれて業績が発表されているので、もう少しだけ詳しく数字を追っていきたいと思います。
アルファベットのセグメント
- Google検索:検索結果画面に表示される広告の収入
- YouTube広告:YouTubeの動画に表示される広告の収入
- Google Network:Google以外の企業や個人が運営するサイトに広告を掲載して仲介手数料を取るビジネスの収入(Adsenseなど)
- クラウド:クラウドコンピューティングの利用収入
- Googleその他:YouTube定額制サービス、スマホ端末(Pixel)の売上
- Google以外の小会社:自動運転のWaymo社などグーグル以外の小会社の売上
この中でも成長率が高いYouTube広告とクラウドに注目がよく集まります。ただ、今回の決算ではどちらも予想を下回り、悪目立ちする形になってしまいました。
- YouTube広告:$7.34(予想$7.52)、前年比+5%
- Googleクラウド:$6.28(予想$6.41)、前年比+36%
YouTube広告の売上成長率はわずか+5%で、この2〜3回の決算で急激に成長率が鈍化しています。
売上構成(10億ドル) | 22Q2 | 構成比 | 前年比 |
---|---|---|---|
Google検索 | $40.7B | 60% | 14% |
Youtube広告 | $7.3B | 11% | 5% |
Google Network(アドセンス等) | $8.3B | 12% | 9% |
クラウド | $6.3B | 9% | 36% |
その他(定額制Youtubeやスマホなど) | $6.6B | 10% | -1% |
Google以外の子会社収益 | $0.2B | 0% | 1% |
Google検索、アドセンス、YouTube広告はどれも広告ビジネスでなりたっていますが、世の中の景気が悪くなり広告費の削減される風潮が漂うと、売上が伸び悩む特徴があります。
2022年は既に世の中の企業で広告費を削減する動きがあるのだろうなと感じる数字になっています。
大きく増えている従業員数
今回の決算で改めて、気になったのはアルファベットの従業員数です。
売上は+13%、一株利益は前年からマイナス成長なのに、従業員数は前年から+21%もの勢いで増えています。
投資家の目線では、これではいけないと思います。
アルファベットは既に採用のペースを落とすことを発表していますが、業績に対する従業員の増え方を見ていると、これはとてもまっとうな判断に見えます。