Googleの親会社アルファベットの1-3月期の決算がありました。
株価は決算発表直後に7%超えで上昇していますが、個人的にはそれほど内容は良くなかったと思っています。
予想ほど売上の成長が鈍化しなかったので株が買われたと思ますが、1-2月は力強かった業績が新型コロナウイルス流行後の3月に急減速した点、主力のGoogle検索の売上成長率のさらに減速している点を見ていると、「世界の景気が最悪期を迎える4-6月、Googleにとって苦しいだろうな」と感じる内容でした。
この記事のポイント
- 利益は事前のアナリスト予想を下回ったものの、収益は予想したほど落ち込まなかった。
- ただ、売上成長率は前年比13%で、2018年以降続いている成長率の鈍化傾向に歯止めがかかっていない。調整後利益は前年から減少した。
- 新型コロナウイルスの流行で、世の中の企業が広告費を削っているため、20年3月からGoogleの検索広告収入が落ち込んでいるとCFOが明かした。
- Youtube広告の売上成長率は33%、クラウドの売上成長率は52%で高いが売上規模が小さく、Google検索の成長減速の影響を打ち消せていない。
2020年1-3月期結果
この記事のポイント
- 調整後一株利益:9.87ドルで、予想を0.89ドル下回る。(前年比-17%)
- 収益:411.6億ドルで、予想を9.9億ドル上回る。(前年比+13%)
業績(10億ドル) | 1Q20 | 1Q19 | 前年比 |
---|---|---|---|
収益 | 41.2 | 36.3 | 13% |
営業利益 | 8.0 | 6.6 | 21% |
営業利益率 | 19% | 18% | – |
純利益 | 6.8 | 8.3 | -18% |
純利益率 | 17% | 23% | -28% |
収益は予想を上回りましたが、売上成長率は前年比+13%でアルファベットにしては物足りなかったです。
近年のアルファベットは2018年から売上成長率が鈍化している傾向はまだ歯止めがかかっていないようです。
それでも1-2月の業績はまだ順調だったようです。CFOのルース・ポラットによれば、1-2月は力強かった売上が、3月で顕著に鈍化したと言います。
3月から本格化した新型コロナウイルスの流行し、世界中で景気が悪化して広告費が削られたため、Google検索の広告で儲けているアルファベットにとっては痛手になっているようです。
危機が終わって、経済が元通りになれば広告収入は元に戻るとポラットCFOは見ていますが、景気回復の時期をコメントするのはまだ早いと言って、4-6月期の詳細な業績見通しへの質問にも答えませんでした。
部門別売上
前期から売上の内訳が変わって、YouTubeやGoogleクラウドの売上が計上されるようになったので、内訳をおさらいしておきます。
- Google検索:検索結果画面に表示される広告の収入
- YouTube広告:YouTubeの動画に表示される広告の収入
- Google Network:Google以外の企業・個人が運営するサイトに広告を掲載して仲介手数料を取るビジネスの収入(Adsenseなど)
- Googleクラウド:クラウドコンピューティングの利用収入
- Googleその他:音楽・動画の定額制配信サービス、スマホ端末(Pixel)の売上
- Google以外の小会社:自動運転のwaymo社などの売上
売上構成(10億ドル) | 1Q20 | 前年比 |
---|---|---|
Google検索 | 24.5 | 9% |
Youtube広告 | 4.0 | 33% |
Google Network | 5.2 | 4% |
Googleクラウド | 2.8 | 52% |
Googleその他 | 4.4 | 23% |
Google以外の子会社収益 | 0.1 | -21% |
その他 | 0.0 | – |
合計 | 41.2 | 13% |
注目は売上規模で約6割を占めるGoogle検索です。Google検索すると検索結果画面に出てくる広告で稼ぐビジネスですね。
Google検索の収入は、成長率がわずか9%と全体の足を大きく引っ張っています。前の19年10-12月期に17%と比べても大きく成長率が低下しています。
YouTubeは33%、Googleクラウドは52%と大きく成長していますが、Google検索の成長鈍化の影響を打ち消すには、売上規模がまだまだ十分ではありません。
Google検索とGoogle Network(AdSenseなど)の成長率が鈍化は今に始まったことではありません。新型コロナウイルスが発生前から見られた傾向で、前期の決算期の記事でも触れていました。
Googleの収益鈍化、まだ続きそうな気配【2019年10-12月期決算】
Googleの2019年10-12月期決算が発表になりました。でも、残念ながら、結果はいまいち良くなかったです。売上規模が大きいGoogle検索の成長率が鈍化しているため、全社的に売上成長率が低下する傾向に歯止めがかかっていません。
そして、20年3月からは新型コロナウイルスの景気低迷の影響で、世の中の企業はGoogleに対して支払う広告費を更に削る動きが出てきています。
4-6月期は新型コロナウイルスの景気低迷の影響がもっとも色濃く出ると言われているので、これからがGoogleの正念場といえそうです。
私はGoogle(アルファベット)は長期的に見てかなり強気で、ぜひ買いたいと思ってる銘柄ですが、株の購入はまだ次の4-6月期の決算まで待ってからにしたいと思います。
1-3月期の決算発表後に株価が急上昇しましたが、この企業はまだまだ低迷期を脱していないので、今の株価購入は時期尚早だと感じています。
【米国株】Google株の銘柄分析【最新のIT技術をリードするアルファベット】
Googleを知らない人はいないと思います。しかし、Googleが今何に取り組んでいるかの動向を把握できている人はそう多くないはずです。「Googleのビジネス動向」と「近年の株価と業積の変化」の両面を見つつ、Googleと親会社アルファベットの今を追いかけます。