「ドイツの主要産業は光が見えない」
経済指標は水晶玉ではないので、未来を見渡せないのはわかっています。しかし、現時点のドイツ景況感をまとめた経済研究所所長が「ドイツの主要産業は光が見えない」と言っているところを見ると、暗い未来が待っているのかなと考えてしまいます。
ドイツは景気後退入りするかもしれません。ドイツのIFO経済研究所がまとめた8月のドイツ企業の景況感指数は5ヶ月連続で低下して、94.3となりました。
ドイツは2019年第2四半期でマイナス成長を記録しましたが、次の第3四半期でもマイナス成長が続けば、景気後退入り(リセッション入り)する崖っぷちにいます。しかし、8月も景気に歯止めがかかっていない様子が報告されています。
参考記事:ドイツ、マイナス成長に転落。1年かけてドイツを追い込んだ米中貿易戦争。
歯止めがかからないドイツ経済
このIFOの景況感指数は、現状と今後6ヶ月の先行きに対して7000社のドイツ企業にアンケート調査を行って数値化します。
アンケート対象企業は、製造業や建設業だけでなく卸売業、小売業などもカバーしているため、この指標が5ヶ月連続で悪化している背景には2018年から不安視されているドイツ製造業以外にも、景気減速感が浸透している恐れがあります。
そのドイツ経済で問題になっている製造業については、ドイツIFO経済研究所所長は発表資料で、「製造業では指数の底が見つけられない」と指摘。「ドイツの主要産業はどこにも光が見えない」とコメントしています。
ドイツ政府も景気後退入りを予測か
また、ドイツ経のシュピーゲルによると、ドイツ政府は第3四半期に、2四半期連続のマイナス成長をし、景気後退(リセッション)入りすると予測しているようです。
独政府、第3四半期の景気後退入りを予測=シュピーゲル誌(ロイター)
シュピーゲル誌が確認した政府内部文書には、「世界的な貿易問題が一段と悪化せず」、「英国の合意なきEU離脱が回避できれば」厳しい経済危機は発生しないと記載があるとのことですが、果たして、世界はその2つを回避できるのでしょうか。
2019年は経済の動向を追いかけようとすると、必ずと言っていいほど国同士の政治的な対立が顔をのぞかせます。政治的な対立の解決は、人と人の交渉事になるので、経済のサイクルよりもずっと読みにくくやっかいです。
貿易協議合意とイギリスの合意なきEU離脱回避は、ドイツ政府も注目するイベントのようですので、経過を見届けることにします。