先週金曜日、アトランタ連銀が公開しているアメリカの経済成長率予想(GDP Now)が引き下げられました。
その引き下げ幅が少し大きかったので、今回見ていきたいと思います。
この記事のポイント
- GDPNowの2024年1-3月期の経済成長率予想が3.0%から2.2%へと引き下げられた。
- この引き下げにはISM製造業指数と建設支出の最新のデータの不調が反映されている。
- ISMは予想よりもやや弱かった。また、建設支出の伸びはピークをつけたような兆候が見られるのは気がかりな点。
GDPNowはやや大幅に引き下げ
アトランタ連銀のwebサイトでは、今期のアメリカのGDP予想値(GDP Now)が公開されています。
このGDP Nowは、関連する経済指標が発表される度に修正がかけられます。
3月1日にこのデータの更新があったのですが、この日のGDP Nowはやや大きめに経済成長率予想が低下しました。
下がったといっても、もともと前期比年率+3.0%と高い成長予想だったのが2.0%に下方修正されただけで、アメリカとしては平常通りの景気拡大ペースです。
景気の悪化を心配するような事態ではありませんが、なぜ予想値が引き下げられたのでしょうか。
低調だったISM製造業指数と建築支出
GDPNowが大きく引き下げられた件について、一言だけですが公式にコメントが出ています。
今朝(3月1日米国時間)、建設支出とISM製造業指数が発表された後、GDPNowは実質個人消費の成長率を3.0から2.2%に引き下げ、実質国内民間総投資の成長率も3.0%から1.1%に引き下げました。
要するに製造業と建設に関連する最新のデータを見てみたら、個人も企業も予想ほどお金を使わないことがわかったから成長率予想を引き下げたようです。
ISMについては、確かに2月は予想していたよりもわずかに悪かったです。
>>回復傾向の続いたアメリカ製造業、2月はわずかに調子を落とす
やや心配なのは、建設支出のほうかもしれません、3月1日には1月分が最新のデータとして発表されたのですが、予想外にマイナス成長に落ち込んでいることがわかりました。
- 1月建設支出:前月比マイナス0.2%(予想:プラス0.2%)
1月単月で調子が悪いだけなら別に心配はないのですが、建設支出は前年比で見た時に好調と不調の波を繰り返す傾向があることがわかっており(下図)、ひょっとすると2023年12月をピークに建設支出の伸びが低下し始めたかもしれない兆候が見られます。
まだ慌てる時期ではありませんが、最近のアメリカは以前ほど個人消費や企業の投資に力強さを感じません。
アメリカの景気はかなり緩やかなペースではありますが、2023年に比べて力強さが奪われているのだろうと思います。