今までスッキリ理解ができなくて、このブログではほとんど書けなかったことがあります。
アメリカのGDIという数字についてです。
1つの国の経済活動を示すGDPのようなものなのですが、実はアメリカではGDIは少し前からかなり低迷しています。
今も理解出来ていないところがあるのですが、このまま何も書かないのも違う気がしたので、一度取り上げたいと思います。
この記事のポイント
- GDPは支出から経済の規模を示した数字である一方、GDIは収入から経済の規模を示したものである。
- 2023年にアメリカのGDPは予想以上に高い伸びを見せたが、その背後でGDIの前年比は既にマイナスに転じている。
- GDPとGDIが乖離することは、過去のアメリカの景気後退前でも見られた。GDIがマイナスに転じた後はすべての場合で景気後退になっている。
GDIとは
あまり聞き慣れない単語なのです、GDIという経済指標があります。
国内総生産(Gross Domestic product:GDP)が生産・支出で経済規模を測っているのに対して、国内総所得(Gross Domestic Income:GDI)は収入から経済の規模を測る指標になっています。
わかりやすくいうと、アメリカのGDIと言った場合には「アメリカの人々やアメリカ企業がどれだけ稼いだか」を示します。
とはいえ、経済を知っている人はすぐにピンとくるかもしれませんが「誰かの支出=誰かの収入」のはずなので、支出のGDPと収入のGDIは長期的にはほとんど同じ金額になります。
次の図はアメリカの実質GDPと実質GDIの2本のグラフを描いていますが、まるで1本に見えるくらいに2つは同じ金額を示しています。
2023年に乖離が見られるGDPとGDI
ただ、2023年のアメリカのGDPとGDIを見てみると2つのデータには乖離が見られます。
次のグラフは過去1年間のGDPとGDIの前年比を描いたものですが、GDPは好調だったもののGDIの伸びはマイナスに転じていることがわかります。
調べてみると、どうも輸入価格の伸びが輸出価格の伸びを上回っているような時にはGDIがGDPを下回る場合があるようです。
2023年のアメリカでなぜGDIが低下し始めたのかがまだスッキリ理解できていないので、これが何を意味しているのかに考えが及ばないのですが、兆候としては良くないです。
GDIの伸びがマイナスでGDPの伸びがプラスという乖離が発生している場合は過去に何度か見られるのですが、そのすべてが結局景気後退に陥って終わっています。
もっとシンプルに言うと、そもそもGDIがマイナスになったら、アメリカは景気後退が訪れているようです。
というわけでGDIについては、あまり深いところまで理解できていないのですが、2023年の堅調なGDPが示すほどアメリカ経済は強くないのではないかと疑いたくなるGDIのデータの紹介でした。