昨日はFRBの主要なメンバーからいくつか大事な発言・や面白い発言が聞けたので、ここで触れておきたいと思います。
この記事のポイント
- パウエル議長は今後の動向を見ながら金利を判断する余裕はあると発言し、6月の利上げ停止を示唆した。
- ニューヨーク連銀は超低金利の時代は終わったという確証はないと発言。これが本当なら、次の景気後退後は大きな株価の上昇が見込まれる。
パウエル議長は6月利上げ停止に傾く
まず、1つ目はFRBのパウエル議長からのありがたい話です。
今朝のニュース記事に詳細が書かれていますが、6月の利上げ停止を示唆する発言があった模様です。
パウエル議長の発言の要点をまとめると、銀行不安で企業への貸出しが厳しくなって景気を冷やす可能性があり、そうなれば政策金利のピークは当初予想よりも下がりうる。ここまで政策金利は引き上げてきたが、今後の経済データを見守ってから政策金利を決める余裕は今はあるというものです。
市場の投資家は「FRBは6月の利上げ停止に傾いている」と捉えたようで、前日まで上昇していた6月の利上げ確率は大きく低下して、利上げ停止の確率が上がりました。
投資家にとっては、パウエル議長の発言は安心材料になったと思われます。6月に利上げがなければ2022年から続いた利上げがやっと終わり、投資家も一息つけるはずです。
超低金利時代はまだ続くのか
昨日もう一つの気になった話は、ニューヨーク連銀総裁の「超低金利時代が終わったという確証はない」というコメントです。
NY連銀総裁、コロナ禍は超低金利時代を終わらせていない-講演(ブルームバーグ)
リーマンショック後に訪れたアメリカのゼロ金利と量的緩和が行われた時代では、米国株が大きく上昇しました。
その時代はまだ終わっていないかもしれないというのがニューヨーク連銀総裁の話です。
次の景気後退が来たときに再び超低金利時代に突入すれば、株価の大きな上昇が見込まれるので、これが本当なら投資家にとっては良いことです。
しかし、次の不況後も超低金利時代になるという期待を持つには、少し楽観が必要な気もします。
リーマンショック後のアメリカはデフレだったので、金融政策をしてもインフレの心配はありませんでした。しかし、今はまだインフレを完全に退治したとは言い切れず、火がくすぶっている状況です。
なので、次の景気後退で利下げをすればインフレの再燃が起こる恐れもあります。そうなれば、超低金利時代を終わって安定して高い金利の時代になるはずです。
過去には賃金上昇率が年率5%を安定して下回ると、インフレは再燃しませんでした。
現時点では、上のグラフのように5%前後まで下がってはいますが、まだまだ余談を許さない展開です。
賃金上昇率は引き続き要チェックの項目になると思います。