今週発表されたもので、少し気になったデータがあります。
毎週発表されているFRBの資産額が、今週は急上昇していることがわかりました。
FRBの資産の急増は、市場にドル資金が急増することを意味します。そのおかげで、どうもいくつかの資産価格が上昇しているようです。
この記事のポイント
- FRBの資産が1週間で3000億ドル(約40兆円)増えた。
- 12日に発表したFRBの銀行救済案による銀行への貸出し急増があった模様。
- FRB資産増加(流動性供給)はあらゆる資産の価格増加につながる。特に恩恵を受けているのはゴールドと米国債
急増したFRB資産
2022年からFRBは量的引き締め(通称QT)と呼ばれる金融政策をしています。
このQTではFRBが持っている債券を毎月少しずつ減らすことをやっていました。これによって市場の現金の量を減らて金利を引き上げ、アメリカのインフレを抑える狙いがあります。
QTを続けていきた2022年の途中からはFRBの資産が毎月減少していく様子が見られたのですが、冒頭でも話をしたように今週少し変化が見られています。
3月15日に発表されたデータではわずか1週間で3000億ドル(約40兆円)増えています。これによりFRBの資産額は11月に記録した数字にまで戻っています。
増加した項目は貸出し
FRBのどの資産が増えたのかを確認してみると、この1週間で3000億ドル増えているのが「貸出し」です。
この全てでは無いかも知れないですが、大部分はシリコンバレーバンク破綻以降に打ち出した救済策を使った銀行への貸出しの増加だと思われます。
FRBの資産増加による資産価格への影響
3月15日までの1週間の間にFRBの資産が増えて大量の現金がFRBから市場に供給されたことになるのですが、このことは資産の価格にどのように影響するのでしょうか。
結論からいうと、(程度の差はありますが)あらゆる資産の価格が上昇しています。
新型コロナウイルスが流行し始めた2020年に投資していた人は記憶にあるかも知れませんが、FRBが緩和したときにあらゆる資産が値上がりしたのと少し似ています。
ただ、あらゆる資産が上がっているとは言っても、各資産ごとに上昇率に差はあるようです。
- ゴールド:長期金利低下と有事の金で大きく価格上昇。
- 米国債:利上げ予想の大幅な後退と安全資産への資金の逃避で価格上昇。
- 株式:資金繰りの問題ない大手ハイテクなどの株は買われるが、銀行株や小型株は売られるため全体としては価格は微増
詳しくは触れませんが、S&P500は上昇していても牽引役は大手ハイテク企業で、銀行株と小型株は下げるなど特徴も見られます。
また、FRBの銀行救済案が出てからビットコインの価格が上昇してるのも、FRBの資産増加(ドル供給増加)による効果が及んでいるのかも知れません。
QTが終わるかは次回FOMCで注目
ただ、FRBの資産増加が今後も続くのかどうかはまだ私にはハッキリ分かっていません。
QTで債券資産を減らしつつ、銀行救済案で貸出し資産を増やすのは、インフレへのブレーキ(QT)をかけながら、同時にアクセル(救済案)をふむようなものです。
今の金融政策はチグハグな気もするので、FRBは今後もQTを続けるのかどうかが気になるところです。次回FOMCで何かしらのコメントが出るのか注目したいと思います。
もしも、QTが停止されるようなコメントが出れば、ゴールドと国債はやはり買われる展開になると思います。