私はかなり前からアメリカの景気の鈍化を心配しています。
しかし、一方でS&500の値動きを見ていると、鈍化している景気ほど悪い数字にはなっていません。
「これなら、年始から米国株に投資していても良かったのではないか?」と自分で突っ込みたくなります。
この誤算は、やはり3月に銀行が相次いで破綻したときのFRBの対応だった気がします。このときのFRBの銀行救済策によって、アメリカの景気後退への道のりが数ヶ月分戻ってしまった気がしています。
この記事のポイント
- S&P500の値動きは現時点で年始から8%と、悪くないペースで上昇している。
- 2023年のもS&P500はFRBの資産額に連動して動いている。
- 3月の銀行救済策でFRBの資産額も増加したことがS&P500にプラスに働いている。量的引き締めの4-5ヶ月分の資産縮小がなかったことになった。
調子は悪くない米国株
最近S&P500は悪くない動きをしています。昨日時点までの年初来で8%を超える上昇を見せています。
年始からアメリカの景気後退が来ることに備えて、株をもっていなかった私にとってはこれは少し意外な展開でした。
この誤算がどこで生じたのかを考えてみると、3月がターニングポイントだったのだろうと感じます。
銀行救済策が時計の針を巻き戻した
3月に何があったかは記憶に新しい人も多いです。簡単にいうと、アメリカを中心にいくつかの銀行が破綻して、FRBが銀行の救済策を打ち出す出来事がありました。
この出来事でFRBの資産が増加したことが、S&P500の株価がしぶとく上昇する要因になったと思います。
2020年以降のS&P500はFRBの資産額(から政府口座残高とリバースレポの金額の引き算したもの)に連動する動きをしています(下図)。
つまり、「FRBが緩和をすれば株があがり、引き締めをすれば株価が下がる」という動きがありましたが、2023年3月の銀行の救済策は緩和的な働きをしたようです。
次のグラフはFRBの資産額ですが、銀行救済策を発表した直後に、量的引き締めで縮小させた4-5ヶ月分に相当するFRB資産がもとに戻ってしまっています。
これによって、私の投資は少し狂わされた気がします。
S&P500が下落する時期が4-5ヶ月先送りされてしまったかもしれません。ひょっとしたらアメリカが後退に入る時期も数ヶ月遅くなった可能性もあります。
ただ、だからと言って、今から米国株の投資を再開する気にはなれません。量的引き締めで今後も毎月最大で950億ドルの資産縮小が起こる一方で、銀行救済の規模は最近は頭打ちになっているので、FRB資産はこれからも減ることが見込まれるからです。
時間は巻き戻ったかもしれませんが、株の下落は2023年後半かどこかで、いずれやってくるのだろうと思って警戒しています。