資産縮小、年内で停止を表明
2月27日、アメリカの中央銀行にあたる米連邦準備理事会(FRB)のトップ、パウエル議長は年内にFRBの資産縮小を停止する意向を表明しました。
サブプライム・リーマンショックにより金融危機に対応するために、FRBはアメリカ国債などを買い支え、市場にお金を供給する景気対策を行った結果、9000億ドルから最大約4兆5000億ドルまで資産が膨らんでいました。いまは、金融政策の正常化にむけて膨らんだ資産の縮小を進めている段階でしたが、当初予定していた約3兆ドルまでへの縮小ではなく、3兆4000億ドル程度までの縮小に留めるつもりだそうです。
FRBは3月19~20日に金融政策を決める会合(FOMC)を開きますが、このFOMCを受けて資産縮小の終了時期と計画詳細を述べるとみられています。ゴールドマン・サックスは、資産縮小の終了時期は9月になると見込んでいるそうです。
FRBの資産縮小は株価にマイナスのダメージを与えるため、2019年年明け当初から懸念事項でしたが、当初想定よりも縮小ペースは大きく緩やかになりました。これは株価に安心材料を与えると考えています。
一方で、2007年よりもFRBの資産は大きな形で縮小を追えることで、次の不況が来た時に、景気の減速をとめる有効な金融政策が打てるのか不安材料は残ることとなりました。
パウエル議長発言の背景
FRBは世界的な景気減速を理由に2019年1月時では金利利上げをしないことを決め、さらにパウエル議長から想定よりも早く資産圧縮を止めると発言がありましたが、その時期と縮小規模についての言及は今回が初めてでした。
パウエル議長の発言要旨
ポイントは3つです。
- 資産縮小は2019年内で終了する
- FRBのバランスシートはGDPの約16─17%に相当する規模になる。(※約10年前の金融危機前は約6%の水準だった)
- バランスシート正常化終了までの道を照らす計画の枠組みは策定されたと考えおり、近く発表できる。
米国のGDPの規模は現在約20兆ドルなので、これに基づくと年内にFRBのバランスシートは3兆2000億─3兆4000億ドルになると見込みです。