2023年3月の銀行不安でFRBが供給した資金が大量に回収されているようです。
これが良いことなのか悪いことなのかいまいち判断がつきません。このブログでは懸念点を書きましたが、全く見当外れで何も心配いらないことを書いているかもしれません。
たが、過去にFRBが市場の混乱を救済した場合、その救済した資金の回収が始まった後に何かしらの経済的なショックが起こっていることが多いので、少し不安視しています。
この記事のポイント
- 3月の銀行破綻の際にFRBが貸し出した資金が、9月以降に急速に返済されている模様。
- 貸した資金が返済されれば、その分世の中からドルが回収されるので、投資には逆風となりえるかもしれない。
- コロナショック前やリーマンショック前にも似たようなFRB救済資金の回収が起こっているので、類似点を感じる。
FRBによる貸出資金の急減
3月にアメリカで銀行不安が起こった時に、FRBはいくつかの救済措置を発表しました。
(A)国債を担保に銀行が資金を借りれるBTFPという救済措置のほかに、(B)破綻しそうだった銀行に資金を貸し出したりしたようなのですが、その資金が最近は急速に回収されているようなのです。
次のグラフはFRBの貸出金額(上記(B)の貸出金額)をまとめたものですが、3月に貸し出していた資金が9月以降に急速に回収されていることがわかります。
この件については以前ブログにも既に書いたのですが、貸出資金の減少は今も続いているようです。
貸出金額回収の意味
これが良いことなのか、今も調べているのですが正直どうもよくわかりません。
そのまま捉えるなら、FRBが救済のために銀行に貸した資金がFRBに返されているということは銀行の問題が解決して事態は落ち着いているように見えます。
しかし、過去の2回のリセッション前を思い返すと、ちょっと心配事も見え隠れします。
実は2020年のコロナショック前にも、2008年のリーマンショック前にも市場で流動性(現金)が不足し、今回同様にFRBが救済に乗り出してドルを供給したことがありました。
そして、流動性不足の混乱が収まって、FRBが資金を回収しはじめたところで過去の2回はかの有名な経済的なショックを起こしています。
今回のFRBの救済額も上のグラフの赤線で記載しましたが、既に過去2回のリセッション前の救済額に比べて大きな規模になっています。
そして、その大きな規模のドルが9月以降に急速に回収されており、市場がドルが吸い上げられているけど「本当に大丈夫かな」と考えてしまいます。
まだ銀行不安がくすぶっている理由
さきほど「FRBが救済のために銀行に貸した資金がFRBに返されているということは銀行の問題が解決して事態は落ち着いているように見えます」と書きましたが、本心を言うと私はまだ3月の銀行の不安は再燃する恐れが十分にあると思っています。
その証拠に地銀ETFの株価はまだ3月から低迷したまま、まったく戻っていません。
また、下のグラフで国債を担保に銀行が資金を借りられるFRB救済策(上記(A)のBTFPという制度)の利用額を確認すると、こちらは返済をしている形跡は見られず、まだまだ増加しています。
これらのことから、私はまだ銀行不安は去っていないと考えています。
さいごに
銀行不安は今後再燃する可能性があると思っている私ですが、昨日のいくつかの銀行の決算発表を見ていると大手銀行はおそらく問題なさそうです。
でも来週以降は最大手以外の銀行でも決算が始まります。普段あまり目にしない中小の銀行の決算を見るのは面倒ですが、何か気づいたことがあれば書いていきたいと思います。