アメリカの金融政策を決める9月のFOMCが終わりましたが、だいたいの内容は予想どおりで特に目新しいものは多くありませんでした。
毎月の国債などを購入する金額を減らす計画(テーパリング)開始の決定は次回11月FOMCまで持ち越しになり、パウエル議長は早ければ11月開始&2022年の半ばに完了するだろうと発言する程度にとどまりました。
これらは多くの人が予想していた通りだったので、市場も荒れることなく無事にイベントを通過した形になりました。
正直言うと記事で取り上げるかどうかも考えたのですが、詳しく見ると少し考えさせられる点もわずかにあったので、一応9月のFOMCについて触れておきたいと思います。
この記事のポイント
- テーパリング開始の決定は次回11月FOMCに持ち越し。パウエル議長は早ければ11月に開始し、2022年半ばにも完了するという見通しを示した。
- FOMC参加メンバーの中で、2022年の利上げ派が半分にまで増えた。また2024年は1.75%まで利上げが進むとの見方を示している。
- 個人的には米国株は1.75%の政策金利に耐えられず、下落が起こると思っている。本当に利上げが進むなら、2024年は要注意。
個人的にはかなり気になった政策金利見通し
今回のFOMCでテーパリング以外に事前に注目を集めていたのは、「FOMCメンバーによる今後の金利政策の見通し」です。
政策金利の引き上げは時間をかけて景気を冷やして、株価もマイナスな影響が出るので投資家に警戒されています。
上の図は今回公開された政策金利の見通しをグラフ化したものですが、次の2点が少し気になりました。
- (1)2022年から政策金利の引き上げるべきと考えるメンバーが半数にまで増えた。毎回のように利上げ見通しの前倒しが起こっている。
- (2)2024年までに政策金利は1.75%まで引き上げられるという予想があるが、ここほどの利上げが米国株の下落なく実施できるかが心配。
1つ目は、2021年の政策金利についてです。
FOMCに参加しているメンバーは数ヶ月に1回、今後のアメリカの経済予想や政策金利の見通しを発表していますが、最近毎回のように2022年の利上げ派が数を伸ばしています。
前々回での2022年利上げ派は4/18と少数でしたが、6月時点では7/18、そして今回9月はついに半数にあたる9/18にまで増えました。
市場の投資家は既に2022年12月に最初の利上げがあることを想定していますが、このまま政策金利の見通しが前倒される傾向が続くと、市場も予想を前倒しする時に株価は少しギクシャクするかもしれません。
2024年の1.75%の政策金利は株価に悪影響
さらに気になっているのは、2つ目の2024年の政策金利見通しについてです。
FOMCメンバーの金利見通しでは1.75%まで政策金利が引き上げられると言っていますが、私の中ではこの金利は米国株が耐えられるギリギリのラインになるだろうと思っています。
今の2021年の米国株は、とても割高な米10年国債に比べたらまだ安いので買われていますが、金利が引き上げられて米10年国債が売られたら、この流れが変わってしまいます。
ためしに、米国株S&P500が国債に対してどれだけ割安なのかをグラフ化したものを以下に載せましたが、今よりも米10年国債の利回りが1.7%上昇してしまうと、利上げに耐えきれずに株価が下落した2018年と同じ水準になります。
もしも政策金利を1.75%に引き上げれば、10年国債利回りも限りなくこの水準にまで近づくと思います。
2024年はまだ3年後の話なので、FOMCメンバー金利見通しも確度が低いですが、もしも本当に予定通りに利上げがあるなら2024年頃に20-30%くらいの株価下落が起こるかもしれないと思っています。