金利据え置き
2019年6月FOMCでは、アメリカの政策金利の引き下げはなく概ね予想通りの展開でした。
金利の誘導目標は2.25-2.50%のままで変わらず、声明では「景気拡大を維持するために適切に行動する」と表明される一方、金利調整に当たっては「忍耐強く」対処するとの文言が削除されました。
今後の貿易戦争が加熱した場合に、速やかに金利引き下げを発動できるように地ならしがされた印象です。
その他、声明や会見で主だった発表をまとめておきます。
- 金利は2.25-2.50%で据え置きで、市場の予想通り。投票権10票のうち、9人が据え置きに投票。セントルイス連銀のみ利下げを指示。
- 声明で「景気拡大を維持するために適切に行動する」と表明で、今後の利下げに含みをもたせた。
- 2019年インフレ率予想は3月時点の1.8%から1.5%へと引き下げ。従来想定よりも悲観的に。
- 正副議長、理事、地区連銀による17人の金融政策シナリオでは、中央値こそ19年末で利上げも利下げもないと予想になったものの、7人は19年末までに政策金利を0.5%ポイント引き下げることが適切になるとの見解を表明し、前回のFOMCからの利下げ色が鮮明になった。
気になったのは2点。(1)インフレ率予想が1.8%から1.5%への大きく下がったこと、それにもかかわらず(2)今回の政策金利で利下げに1票しか集まらなかったことです。
政策金利維持の反対票が1票しか無かったのは、やや意外でした。もうすこし利下げに票が入ってても不思議ではないのに、と感じています。
おそらくは、景気下振れリスクからインフレ率予想を引き下げたものの、米中貿易協議などの現在進行系で動いている事態をまだ見極めたい狙いが大半なのだろうと思います。
そんな中、事前に金利引き下げの議論の必要性を示唆していたセントルイス連銀は、投票者の中で唯一の利下げ支持に回ったようですね。
「米政策金利引き下げ、早期に必要になるかも知れない」セントルイス連銀が発言
たしか、セントルイス連銀のジェームズ・ブラード総裁は、景気後退入りを未然に防ぐための予防的な利下げの考えも持っていたはずです。今回の利下げ指示も、その予防的な見方から投じたのかも知れません。
株の売却は来月以降に持ち越し
さて、私というと予想通りの展開でややホッとしています。
結構前からFRBが金利引き下げを行った場合には株の売却をすると言ってきましたが、市場の事前予想では7月利下げが大半で、私もその想定でした。
1998年には景気後退に先立って”予防的な利下げ”をした結果、その後1年間に渡って株価の上昇が続いたこともあり、今回”予防的な利下げ”をサプライズで発動されると、今後株価があがるかも知れない期待から、株を売却しにくくなるところでした。
ひとまずは6月のFOMCを無事通過しました。次は来週のG20での米中首脳会談ですね。