アメリカの金融政策を決める会議FOMCが開催されました。多くの人にとって、だいたい予想通りの内容だったのではないかと思います。
今月の金利引き上げはなし、年内はまだ利上げする可能性を残すような金利見通し、高い金利を長く続ける決意表面とこれまでの流れを組むような内容でした。
この中で「高い金利を長く続ける」というのが厄介かもしれません。FRBはこの作戦を2024年半ばから後半まで続けて、2026年のインフレ目標達成を見込んでいるようです。
この記事のポイント
- 9月の政策金利は据え置きが決定。ただ、年内はあと1回の利上げ見通し。
- 2023年の景気とインフレ見通しは引き上げられ、「高い金利をより長く」の方針のもと2024年の利下げ見通しが後退した。
- FOMCの見通しでは、2026年にインフレ2%の目標を達成。
経済見通し
今回はFOMC参加しているFRBのメンバーによる経済見通しが発表されています。
これを見ると「経済が今後どうなると見ているのか」、それにより「FRBはどのような金融政策をする予定なのか」がぼんやりと見えてきます。
現況の景気判断を引き上げ
まず、実質GDPの成長率予想ですが、2023年と2024年のものが引き上げられました。
GDP成長率 | 6月FOMC時の見通し | 今回 |
---|---|---|
2023年 | 1.0% | 2.1% |
2024年 | 1.1% | 1.5% |
このあたりは最近のアメリカの景気の強さを反映したようです。ようするに、「思ったよりも景気が強そう」ということのようです。
それに合わせて、失業率の見通しは低下しています。
失業率 | 6月FOMC時の見通し | 今回 |
---|---|---|
2023年 | 4.1% | 3.8% |
2024年 | 4.5% | 4.1% |
2022年から金融引き締めをしているけど、景気が強いなら失業率も思っていたほど悪化しないと見ているようです。
金融引き締めで2026年にインフレ正常化
思っていたほど景気は強いのに無策だった場合には、インフレは再び上昇してしまいます。
なので、FRBとしては当初よりも引き締める方向に動かないといけないようです。政策金利見通しは利上げが増えたわけではありませんが、2024年の利下げ見通しが大きく縮小しています。
政策金利 | 6月FOMC時の見通し | 今回 |
---|---|---|
2023年 | 5.6% | 5.6% |
2024年 | 4.6% | 5.1% |
2025年 | 3.4% | 3.9% |
2026年 | – | 2.9% |
もともとは2024年に1%ポイントの利下げが予定されていたのに、それが半分の0.5%ポイントにまで減っています。
これは投資家にとってはガックリと来たかもしれません。投資には厳しい高い政策金利の環境は続きそうです。
ただ、高い政策金利を長く続けることでインフレは2026年にようやく目標の2%達成をするようです。
PCEコア | 6月FOMC時の見通し | 今回 |
---|---|---|
2023 | 3.9% | 3.7% |
2024 | 2.6% | 2.6% |
2025 | 2.2% | 2.3% |
2026 | – | 2.0% |
以上が今のFRBが描いている未来予想図です。
さいごに
今のアメリカは思っていたより景気が強いから、高い政策金利をより長く続けることで2026年にはインフレ目標の2%に戻るとFOMCメンバーは考えているようです。
今回のFOMCで影響を受けたのは、市場の2024年の政策金利見通しです。FOMCを受けて2024年の利下げ予想を0.75%から0.50%に縮小させています。
もしもFRBが予想する通りの世界になるのなら、高い金利環境で我慢する展開はまだ続くことになります。
ただ、私はその通りにはならないと思います。
FRBが景気判断のために見えている過去の経済指標のデータ(特に個人消費や失業率)にはまだ2022年からのハイペースな利上げの影響が出ていないと思っているからです。
まもなく、これから数四半期以内に利上げの影響が出るはずなので、それからFRBの見通しやFRBに影響されている市場予想にも変化が現れるのではないかと思います。