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【2019年12月FOMC】政策金利変わらず。2020年末までは金利維持の見通し。

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2019年12月のアメリカの金融政策を決める会議(FOMC)は、無事に通過しました。

予想通りの利下げはなしで、特にサプライズもない無風のFOMCでした。おそらく2019年で一番注目度の小さいFOMCだったと思います。

2019年12月FOMCの概要

  • 政策金利は現状維持の1.50-1.75%に決まった。反対した人は誰もいなかった。
  • 金利見通しでは、17人中13人が20年まで金利を変える必要ないと表明。
  • 前回まで声明文に入っていた「景気見通しに対する不透明感が残る」という文言が削除。景気見通しが改善した。

今回のFRBが発表した今後の見通しはこちらです。

FRBの見通し(中央値) 2020年 2021年
金利 1.6%
(現状維持)
1.9%
(0.25%利上げ)
経済成長 2.0% 1.9%
インフレ率 1.9% 2.0%
失業率 3.5% 3.6%

要するに、FRBはほぼ現状維持の景気が2年続くといって言っています。

成長率と失業率を見る限り、「2021年までは現状を維持しながらもわずかに景気は低迷するかも」という感じです。

(その割に、インフレ率が僅かに上がっているのが不思議ですが。)

ほぼ何も予想していないに等しいようにも見えますが、考慮した結果出てきた結論なら仕方ありません。

2019年株高の原因が消える

個人的に気になったポイントは、2020年末まで金利の変更は必要ないと考えているFOMCメンバーが多い点です。

2019年はアメリカ株はかなり好調でしたが、その好調を支えた利下げの政策でした。でも、2020年にはその株高の要因もなくなるようにも見えます。

2020年も展開次第では利下げも

「2020年にはその株高の要因もなくなるように見える」と断定した言い方をしなかったのは、必ずしも利下げ停止が既定路線ではないからです。

2020年も展開次第では、また利下げする確率も残っています。今のFRBは良くも悪くも市場の要求にあわせて、柔軟に政策を変更するからです。

思い返すと2018年年末まではまだ利上げ路線でした。まだアメリカの景気が悪くなっていないのに、「景気見通し」悪くなっただけで利下げに転じています。

もしも、2019年の景気見通しに貿易協議の進展が影響しているとしたら、2020年もアメリカと中国の協議内容しだいで簡単に利下げする展開になります。

こうしたFRBの柔軟な対応は良い面と悪い面の両方があります。

  • メリット:市場の利下げを望む声に柔軟に対応して金利を引下げて、景気拡大期を延長させる。
  • デメリット:景気が本格的に悪くなったときに、金利を下げる余地がなくなって、大きな景気の停滞を招く。逆に、景気が加熱してインフレが進んだ場合に、市場が嫌がる利上げを断行できずにインフレが加速する。

2019年の今はメリットが強く効いていて株高です。デメリットはもし起こったら経済へのダメージが大きいので、ちょっと怖いです。

可能性としては相当低いと思っているのですが、もしも今後アメリカの景気が過熱したときに、今のFRBが市場の反対を押し切って利上げできるのかが少し見ものです。

ただ、いまのところ景気は緩やかな拡大路線がベースで、あるとしても2020年後半以降の景気悪化なので、景気加熱のインフレを心配する必要はなさそうです。

完全に様子見の状態に入ったFRB

前回の10月FOMCに宣言していたとおり、中央銀行FRBは景気刺激策を打ち出す時期から、様子見の時期に移行したようです。

2019年は3回の金利引下げに動いて、打つべき手は既に打ちました。

景気の見通しが改善して株価も上がったので、実体経済にも良い循環が生まれるのをじっくり見守ると感じになります。

2019年はFOMCへの注目度がいつも以上に高かったですが、しばらくは警戒レベルを引下げても良さそうです。

経済指標の悪化やレポ金利の上昇などの目立ったことが起きない限り、今後このブログでもFOMCの内容はサラッと紹介する程度のシンプルなものにするつもりです。


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