以前、このブログでは個別株の投資でリターンを出すためには2つほど重要だと思っていることがあるとお話しました。
個別株の投資で重要なたった2つのこと
- 【何を買うか】フリーキャッシュフローを増やしている企業の株を買う。
- 【いつ買うか】(基準は何でも良いので)少しでも安い時に投資する。
個別株の投資で重要なたった2つのこと
とってもシンプルに考えるなら、個別株に投資で重要なことはたった2つしかありません。【何を買うのか】と【いつ買うか】だけです。この記事では、長期で個別株で資産形成したいと考えている投資家に向けて、どんな銘柄をどのタイミングで買っていけば良いかを考えていきます。
この2つは大事な点をかなりシンプルに表現したものなのですが、色々なものを削ぎ落としています。
この2つだけ他の人に伝えたり、過去の自分に伝えられたとしても、恐らく投資する時に考えていること・心がけていることが違うので、今の自分と同じ保有銘柄どころか、同じ投資スタイルにすらならないと思います。
この記事では、上の記事であげた重要なポイント2つほどの確信はないものの、投資をするときに大事だと思って心がけていることを5つほど書き出していきます。
私が株式投資で心がけている5つのこと
- (1)期待できるリターンが大きくなるように、投資先を選ぶ。
- (2)短期的なことは読みにくいので、数年先を考えて投資する。
- (3)株価が上がって他の投資家が楽観的になっている時に、次の手を打つ。
- (4)ある投資の波に乗り遅れた場合には、周回遅れになるまで待つ。
- (5)自分の投資対象を狭めるルールは決めない。
(1)期待できるリターンが大きくなるように、投資先を選ぶ
投資は「今後期待できるリターンが最大になるように、資産を配分すること」だと思っています。
実際に投資する前には、「どれだけ上がりそうか」だけでなく、「どれだけ下がってしまいそうか」も気にするようにして資産全体で期待できるリターンが大きくなるように投資しています。
例えば、人気が出て利益の伸び以上に株価が急上昇している銘柄は、下落した場合に人気が落ちて下落幅も大きくなることも考えると、期待できるリターンはあまり大きくありません。こういう銘柄は成長していても、あまり買わないようにしています。
また、株価下落が大きい銘柄でも、既に大きく株価が下がっていて、今後は事態が好転して株価の上昇が見込めるなら期待リターンは大きいと判断して買っています。
このように考えて買ったのが2020年のコロナで下落したホテル株や航空株などで、2021年以降は客足が戻ってくることを期待して、投資しています。
(2)短期的なことは読みにくいので、数年先を考えて投資する。
数カ月先の短期的なことはよくわからないので、景気の波など5-10年周期でゆっくりと進行していくものを頼りに投資しています。
今が景気サイクルでどこに位置するのか(サイクル序盤の景気回復期なのか、サイクル終盤で景気後退が近づいているのか)は、いつも漠然と考えています。
2020年11月ならまだ景気回復期にいると思っているので、回復期に恩恵を受けやすい株への投資を少しずつ増やしているところです。今後1年先はコロナの収束で景気が強くなるはずなので、コロナでダメージを受けた銘柄も投資するという感じです。
今の景気サイクルの注意点
1つ注意が必要なのは、今の景気のサイクルは急速に悪い方向に暗転する恐れがあるという点です。
景気の波は借金が耐えきれないほど大きくなった時に不況に陥るのですが、2020年のアメリカ企業はコロナで経営が悪化してかつてないほど負債を増やしたので、危険な水準にあります。
それでも2020年11月時点で、アメリカ企業の社債は大きく売られず価格は安定していますが、これらが売られ始めると事態が急速に悪化する恐れがあるので、警戒だけしています。
(3)他の投資家が楽観的になっている時に、次の手を打つ
ルーレットに勝つコツは、愚かなほどシンプルで、ゲームのどの段階においても自分をコントロールすることを忘れず、けっして興奮しないことである。
ドストエフスキー
株価が上がってくれるのはもちろん嬉しいです。でも株価上昇は、投資家にとっては新しい仕事が発生したサインでもあります。
農家なら実がなれば喜ぶだけでなく、収穫をしたり、次のシーズンのために土作りや種まきをしなければいけないのと同じで、投資家も株が上昇したら、まだ実が大きくなるまで待つのか(保有継続)、そろそろ収穫(売却)するのか、次の種まき(別の株の新規購入)が必要になっているか判断をしなければなりません。
一株利益の伸び以上に株価が上がっているなら(毎年PERが上昇して割高になっているなら)、株の価値以上に価格が上がっている状況です。こういう状況なら、今後の期待できる投資リターンが下がってしまうので、今よりも有望な投資先がないか探す必要があります。
まわりが楽観的になっているときほど、来年以降もリターンを得るために今どんな準備が必要かを検討しなければいけません。
3年先を見据えて投資するアマゾン
株式投資ではなく事業投資の話になりますが、アマゾンCEOのジェフ・ベゾスは、今期の業績が良かったとしても「それは3年前に投資したことが花開いただけ」と言って冷静で、これから3年後も良い業績を残すために、今何に投資すべきかに集中するそうです。
私の直属の部下は今の四半期に集中しなければなりません。好調な四半期決算が電話会議で報告できたり、そればウォール街で歓迎されたりすることがあります。そんな時は祝福をしつつも、その結果は3年前に決まっていたと心の中で思います。
現在(2018年)、私は2021年頃に明らかになる四半期決算の準備をしているのです。2~3年くらい先のことに今取り組んでいる必要があります。
ジェフ・ベゾス、 アマゾンCEO
(4)ある投資の波に乗り遅れた場合には、周回遅れになるまで待つ
あくまでも個人的な考えなのですが、バブルのような熱狂は全く乗らないのではなく、一度破裂して、静まり返った後の乗るのが良いと思っています。
2000年にアメリカのITバブルは弾けて株価は大幅に下落しましたが、インターネット技術に世の中を変える力があったので、その後も着実に世界を変えていきました。
たしかに2000年はITバブルがはじけてIT銘柄の株価は大惨事になりましたが、その後長い低迷を経て、2010年代は見事にIT銘柄の飛躍の時代になりました。
結局、IT銘柄に誰も見向きしなくなった2002年から2010年の間にインターネットの未来を信じて投資していた投資家は、大きなリターンを得たはずです。
ブームにもパターンがある
IT銘柄は一度株価のピークをつけ、長い低迷を経験した後に、再度上昇しました。この動きはインターネット株だけにとどまりません。
調査会社で有名なガートナーは新しい技術が世の中に受け入れられるまでに、世間の期待は下図のように変化する傾向があると言っています。
この形はナスダックの株価とほぼ同じです。本当に世の中にインパクトを与える技術なら、上のような曲線をたどり、関連銘柄の株価もこのように「期待先行の流行、低迷期、実力を伴った再流行」と変化するのだと思います。
次にブームがくるものは
2010年代のIT銘柄のように、次に大きく伸びるものを探すなら、既にバブルがはじけて低迷期を経験したものを探すと良さそうです。
近年バブルが弾けて、低迷期を数年経験したもので、すぐ思いつくのはビットコインです。
上の例にならえば、2017年のビットコインのバブルに乗らなくても、本当に世の中にインパクトを与える技術なら、その後に大きな上昇がやってくるはずです。私の場合は、低迷していてまだ人気が陰っていた2019年夏からビットコインへの投資をはじめました。
また、次にバブルが破裂するかも知れない候補は、電気自動車かも知れません。
これも本当に世の中に影響を与える技術なら、2020年の電気自動車の株高の流れに乗らなくても、株価が大きく下がった後に買えば、リターンを出すことができるはずです。
(※ただ、電気自動車の技術はインターネットやビットコインを支えているブロックチェーンほど、世の中に与える影響は大きくないと個人的には思っています。)
(5)自分の投資対象を狭めるルールは決めない
最後に心がけている点は、投資対象を狭めないことです。
「高配当株だけに投資する」、「成長株だけに投資する」、「インデックスだけに投資する」「(日本や米国など)ある特定の国の株だけに投資する」という考えはあまりしないようにしています。
10年以上投資していると、どの投資先や銘柄もリターンを出しやすい時期に違いがあるだけで、絶対的に優れている投資先はないことに気づきます。
考えてみれば当然ですが、もしも他よりもいつも優れている銘柄やインデックスがあると思っていても、人気が出て実力以上に割高になってしまえば、それ以上投資でリターンを出せなくなるからです。
むしろ、投資環境が変われば価格が上がりやすい投資先も変わること理解して、投資先を柔軟に投資を組み替えられれば、安定したリターンを出せる可能性が出てきます。
まだ投資できていませんが、新興国株やヨーロッパ株でもチャンスを感じたらチャンレンジして、今後米国株が不調になっても投資でリターンを上げられるようにしたいと考えています。
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