市場の行き過ぎた期待を牽制
米セントルイス連銀のジェームス・ブラード総裁は、次回7月FOMCで0.50%の利下げは必要ないとの認識を示しました。
前日まで市場の42.6%は7月のFOMCで0.5%利下げを予想していましたが、セントルイス連銀の発言を受けて一気に27.1%にまで低下しています。
6月25日 | 6月24日 | |
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0.50%利下げの市場予想 | 27.1% | 42.6% |
0.25%利下げの市場予想 | 72.9% | 57.4% |
6月のFOMCでは政策金利の現状維持を決めましたが、その投票で唯一金利維持の政策に反対票を投じたのがセントルイス連銀でした。
FOMCで投票権を持つメンバーの中で最も強く利下げの必要性を訴えているブラード総裁が、0.50%の利下げを否定したことで、7月に0.25%の利下げではなく、0.5%利下げもあるかと踏んでいた7月の市場予測は急速にトーンダウンたものと思われます。
関連記事:FRBは金利は据え置き、19年は金利不変予想も声明で利下げをにじませる。
ブラード総裁はブルームバーグTVとのインタビューで「現状を踏まえると、50bpの利下げは行き過ぎと感じる」とし、「50bpの利下げが必要な状況にあるとは考えていない。しかし、25bpの利下げには前向きになるだろう」と語った。(ブルームバーグ)
FRB議長は、トランプ大統領の利上げ要求を牽制
なお、同じ日にFRBパウエル議長は、トランプ大統領からの利上げ要求に対してFRBは「短期的な政治圧力から隔絶」されていると発言し、政治的な圧力でFRBが利下げ決定をすることはないと牽制をしています。
このところの市場と大統領の行き過ぎた利下げへの期待を牽制してきたことをみると、7月FOMCは「0.25%の利下げ」もしくは「政策金利の現状維持」の2択なのだと思います。
現時点でのCMEのFedWatchツールを見る限り、市場はそれでもまだ、0.50%の利上げ予想の確率を27.1%も見込んでいますが、「0.50%の利下げて政策金利を1.75-2.0%にする」の選択肢はないと見たほうが良いかもません。
FedWatchツールの見方はこちら参照:【中級者向け】米国金利動向の市場予測の調べ方
しかし、FRBはこうした市場との細かなコミュニケーションを蜜に図りますね。我が国の中央銀行もかなり努力をしていますが、2019年5月には国債購入額をしれっと2013年以来の低水準に抑えたりしているところをみると、だいぶ市場とのコミュニケーションのとり方には差があるように感じます。
日銀の国債購入減額に関する記事:日銀がデフレを脱却できない理由。政府がやるべきこと。
市場参加者にとってどちらが良いかは言うまでもなく、透明性が高いFRBのほうです。