注目を集めていた9月の金融政策決定会合(FOMC)では、アメリカの金利が0.25%引き下げられることが決まりました。7月に続いて2回連続の金利引下げになります。ただ、その内容は手放しで喜べるものではなく、まだら模様でした。
9月FOMCの概要
- 【政策金利】:政策金利は0.25%引き下げ、1.75-2.00%とする。
- 【声明文】:米経済は引き続き緩やかなペースで拡大しており、雇用環境は力強い。ただし、世界情勢の影響を受けた経済見通しと、インフレ率が目標に比べて低いことから利下げを決定。景気拡大にむけて、引き続き適切に対応すると宣言。
- 【経済見通し】:19年は2.2%成長予想。インフレ率は19年は1.5%、20年は1.9%と、目標値の2%を引き続き下回る予想。
- 【金利見通し】:(記事下の図を参照)
株式市場へのプラスは「金利引き下げ」
まず、株式市場にとって良かった点は市場予想の約半分は利下げしない予想もあった中で、世界経済が低迷している影響からアメリカの経済を守るため、FRBが利下げを決定したことです。
利下げをすれば企業の資金繰りは楽になり、株の評価もあがるため、株式市場にとってプラスに働きます。
「金利引下げで株価があがる」と覚えておけば、投資する上では問題ないですが、その仕組みをもう少し理解したい場合にはこちらの記事を参照ください。
【中級者向け】割引率って何?金利が下がると株価が上がる仕組みとは。
株式市場へのマイナス要因は「FRBの想定以上の強気姿勢」
一方で、イマイチだったのは、今後も追加緩和をすることの明言がなかったことです。市場は2019年から2020年にかけて、金利が下がる予想をたてているため、FOMCで今後も引き続き金利を下げていく方針が欲しいところでしたが、それはありませんでした。
それどころか、FRBの一部のメンバーでは「利下げ」ではなく、2019年内に「利上げ」が必要と考えていることもわかりました。これは、意外でした。
今回から新しく公表されることになった今後の金利予想では、「2019年内に利上げをすることなる」と考えてるFOMCメンバーが17人中5名いることが明らかになっています。
以下が9月のFOMCで発表された金利予想(ドットプロット)ですが、2019年末で現状の1.75-2.00%よりも高い金利になると予想しているメンバーが5人いることがわかります。
まだ、少数意見ではあるものの、今後も継続的に金利引下げをして、株に支援的な金融政策をしてくれると思っていた株式投資家にとっては、驚きの結果でした。
加えて、上図の緑の線は年ごとのFRBメンバーの金利予想の中央値を示していますが、緑の線が示す金利は2019年、2020年ともに既に現在の金利と一致しています。
もちろん中央値の意見をもつメンバーによって金利が決まるわけではないですが、中央値をFRBメンバーの意見の総意として見るならば、今後2020年末まで金利を現在と同程度の水準が続くことにあります。これも、市場の見方と大きく開きがあります。