今夜、FRB議長は議会に出席
今や市場の最大の関心は、米中の貿易協議でも、企業の決算報告でもなく、7月末で中央銀行FRBが景気刺激策の金利引き下げをするか否かです。そして、世界中の投資家の注目が集まっている中、7月10-11日でFRBトップのパウエル議長が議会証言で公の場に姿を現します。
パウエル議長は、米東部時間10日午前10時(日本時間午後11時)から下院金融委員会、11日も同時刻から上院銀行委員会で証言をする予定です。
前回のFOMCからの経緯
前回、6月の金融政策決定会合のFOMCでは利下げこそしなかったものの、FRBパウエル議長は「今後の景気拡大のために適切に行動する」と表明し、7月移行のFOMCでの利下げの可能性に含みを持たせました。
FRBは金利は据え置き、19年は金利不変予想も声明で利下げをにじませる。
6月のFOMCの翌週、米中首脳会談が行われ、アメリカと中国がこれ以上お互いの輸入品に関税を掛け合わないこと、協議が再開されることが発表されて、貿易戦争の激化による世界経済の減速が回避される形になりました。こちらは好材料でした。
しかし、7月に入ってから発表されたアメリカの経済指標は、良いものと悪いものの玉石混交な状態にあります。企業の購買担当者にアンケートしたISM景況指数のデータは製造業、非製造業ともに良くなかったです。一方で、6月の雇用増加数は予想を上回る良い内容でした。
この異なる結果をどう捉えればいいでしょうか。私の頭の中はこうです。
通常、景気が悪くなることを最初に認識するのは営業や購買担当者などの現場の人間で、その後、業績が数字になって悪化していることが明らかになると、対策として新規の雇用を減らします。2019年7月の現在の景気は、現場が景気減速を感じつつも、対応策の雇用減少が発生するまでのタイムラグの間にいる気がします。
市場は7月FOMCでの利下げを予想
こうした中、市場は相変わらず100%利下げをすると予想しており、その大半は現状の2.25-2.50%の政策金利から0.25%の引き下げをすると見ています。
7月のFOMCで、アメリカの金融を握るパウエル議長が金利の引き下げをする必要があると思っているのか、非常に気になるところです。前回のFOMCで宣言した「今後の景気拡大のために適切に行動する」との発言を繰り返すとの見方が強いですが、議長の発言に世界中の投資家が注目しています。