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フェデックスの業績不振が示す世界的な景気悪化の兆候

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先週、運送会社のフェデックスの株価が大きく下げました。

6-8月期の業績が悪かったことが決算発表前にアナウンスされて、大きく売られたようです。

今回は「フェデックスの株を持っていないから関係ない」というのも少し違うかもしれません。10月から米国企業は決算シーズンを迎えますが、フェデックスのように業績見通しに届かない企業が多く出てくる可能性はあると思っています。

この記事のポイント

  • フェデックスの6-8月期は業績が低迷し、決算発表を待たずに不振だった業績を発表した。
  • CEOは「6-8月期に世界的に取引量の悪化が加速した」とコメントしており、この時期に世界的に景気が悪化した恐れがある。
  • フェデックスの株は、S&P500に先行して下落する傾向がある。今後、他の米国株に業績不振と株価下落が広がらないか警戒感が高まっている。

フェデックスの決算前の発表


決算発表を1週間後に控えた9月15日、フェデックスは前もって6-8月の悪かった業績を発表しました。

フェデックスの株を持っていない人のほうが多いと思うので詳細は省きますが、大事なポイントとまとめると以下のようになります。

  • 正式な決算は9月22日だが暫定的に業績を発表した。(※通常、悪いニュースは事前に発表される)
  • 6-8月期の最後の数週間で世界的に取引量の悪化が加速した。
  • 第1四半期(6-8月)の業績悪化を受けて、通年の業績見通しを取り下げた。
  • 積極的なコストカットを進めているが、第2四半期(9-11月期)はさらなる弱い業績が予想される。
  • これらの発表の翌日に株価は21%下落した。

いくつも箇条書きで書きましたが、一番重要なのは「6-8月の最後の数週間で世界的に取引量の悪化が加速した」という点です。この時期に幅広い国で景気が失速した恐れがあります。

6-8月期の後半にマクロ経済が著しく悪化したため、米国内でも海外でも世界的に取引量が減少した。(フェデックスCEOのコメント)

そして心配なのは「第2四半期(9-11月期)はさらなる弱い業績が予想される」と言っている点かもしれません。

フェデックスの売上はこの数年間成長を続けてきましたが、ゼロ成長からマイナス成長に陥る可能性が出てきました。

フェデックスの発表では第2四半期(9-11月期)は235億ドルから240億ドルの売上を見込んでいますが、これはマイナス2%からゼロ%成長を意味します。

フェデックスのような様々な企業と取引する大規模な運送会社は景気に大きく左右されるので、世界の景気は8月頃に変調して9-11月に悪化に向かう恐れがあります。

フェデックスとS&P500の関係


最後にフェデックスの株価と米国株指数S&P500の関係についても書いておきます。

まず、フェデックスのような株は景気が良い時に上昇し、景気が悪化するといち早く下落する修正があります。そして、この動きはS&P500の株価よりも先行して起こります。

今回のフェデックスの株価下落(企業業績悪化)も、S&P500の他の企業に先行して起こっている可能性があります。米国企業は多くの企業の決算は10月以降に控えていますが、幅広い企業で業績悪化や株価の下落に見舞われないか警戒感が高まっているようです。

先程、世界の景気が「9-11月に悪化に向かう恐れ」があると書きましたが、これをしばらく前に暗示していた経済指標があります。

>>景気後退のシグナルが点灯した景気先行指標

7月の時点でアメリカの景気先行指標は4ヶ月連続でマイナスになり、過去にこれが起こった場合には9割近い確率で半年以内にアメリカで景気後退が起こっていました。つまり、景気先行指標によると2023年1月までにアメリカは景気後退に陥る可能性が高いとシグナルを出しています。

フェデックスも9-11月にも売上が前年比マイナス成長に陥る恐れがあると発表しているので、今年の年末から来年の年始頃に景気後退が深刻化する可能性が高まったと思います。


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