ビザ・マスターカードの決済基盤にリスク到来
私は2013年からアメリカ株に投資をしており、その頃から比べるとずいぶんとアメリカ株に投資する人が増えたなというのを肌で感じます。
2019年でも外国株に投資する日本人は1%未満だと聞いたことがあるので、まだ一般人には程遠い世界ですが、かつての認知度から比べたら段違いです。
さて、それはそれで喜ばしいことなのですが、米国株の投資をする人のブログなどで勉強させてもらっている時に、どうにも疑問に思うことがいくつかあります。
- 「みんな、高配当銘柄への投資を盲信しすぎではないか」
- 「Microsoftに強気な人が多すぎじゃないか」
- 「ビザ・マスターカードは盤石な銘柄だと信じて疑わない人が多いのはなぜか」
他の方も熟慮に熟慮を重ねて投資をしているので、私がまだ理解できていない投資の利点に気づいた上で投資をしているというのは十分知っています。しかし、今日はあえてビザとマスターカードに的を絞って、不安を煽る一石を投じたいと思います。
今日言いたいことは、2019年6月以降もビザ・マスターカードが今まで通り決済基盤の覇者として君臨できるかは、状況をじっくり観察しないといけない事態に直面したということです。
最大のリスクは仮想通貨
私もVISAとマスターカードを長年保有していますし、なおかつこの2つの買いを理由を解説する記事も過去に書いています。
実はこの記事を、昔のブログで2014年に掲載したものがほとんどベースになっています。2014年3月にこの記事を書き、実際に世界の決済基盤を支配して安定的に成長を続けるVISAとマスターカードを購入したおかげで、今では株価は数倍になりました。
しかし、その頃から唯一にして最大級に気にかけていたリスクがあります。
仮想通貨の存在です。
上記の記事にも「唯一にして最大の懸念点は仮想通貨」という章を立てて説明していますが、仮想通貨の登場で新たに作られる決済基盤によって、VISAとマスターカードが築き上げたクレジットカード決済基盤が使われなくなることが最大のリスクだとずっと思ってきました。
ただ、2019年5月まではビットコインなどの仮想通貨は、投資対象(投機対象)として買われるものの、決済基盤として商用で大規模に使われることが無かったため、全くVISAとマスターカードの脅威にはなりませんでした。
しかし、2019年6月に従来のような投資対象ではなく、明らかに決済機能をもたせるために作られた仮想通貨がFacebookから発表されます。これが今後のVISAやマスターカードの大いなる脅威です。
Facebook暗号通貨2019年6月に公開へ。Facebook経済圏の構築なるか。
クレジットカードの決済基盤が覇権を握り続けるのか、それともFacebook仮想通貨がその覇権を脅かしていくのか、Visaとマスターカードの株保有者は、これから数年間注意深く見守る必要があると思っています。
Facebook仮想通貨が作る経済圏にVisaとマスターカードが入る隙
Facebookの仮想通貨は既に米国の名だたる企業が参画を表明して、既にFacebook経済圏が出来上がりそうな空気が漂っています。
Facebook仮想通貨にVISA・マスターカード・Uberも参加へ。
これはまだ想像でしかありませんが、Uberのタクシーのドライバーとしての給与をFaebookの仮想通貨で受け取り、稼いだ仮想通貨でeBayの買い物や、Booking.comのホテル予約もでき、現金が必要なときにはPaypalで自分の銀行口座に米ドルで送金するようなことが可能になります。
問題はこの一連のお金の流れにVisaやマスターカードの決済基盤が一度も使われない恐れがあることです。
脅威のFacebook仮想通貨に参画するVisa・マスターカードの狙い>
しかし、懸命な読者の皆さんでは、なぜVISA、マスターカードがFacebook仮想通貨に参画しているのだと疑問に思うかも知れません。
ここも想像でしかありませんが、VisaやMastercardのクレジットカードが使える実店舗の店頭で、Facebookコイン決済を可能にするためにVisaとMastercardが参画している可能性があると思っています。
これに近い取り組みはコインベース・カードと呼ばれるVisaが開発したデビットカードで既に行われています。
利用者はVisaカード対応レジならどこでも使えるコインベース・カードで支払うことで、コインベースの仮想通貨残高から支払いに必要な額を瞬時に現実通貨に換金し、Visaの決済ネットワークで支払いが完了させることができます。
これと同じようにVisaとマスターカードが使える店頭で、Facebook仮想通貨で決済を可能にするサービスを展開する可能性があります。この場合、クレジットカード決済と同じように手数料を店舗側に請求することができます。
Facebookの仮想通貨決済ネットワークが既存決済基盤に与える影響は要経過観察
「なんだ、コインベース・カードのような仕組みでVisaもマスターカードも手数料収入が取れるなら、安泰じゃないか」と考えるのは、まだ早いと思います。
Facebookの仮想通貨は1000万ドル(11億円)を支払えば、Visaやマスターカードと同様に新仮想通貨参画企業になれる制度があります。これにより売上に対する手数料無しで仮想通貨決済ができるようになるので、大口顧客はVisa・マスターカードへの手数料をさけて、Facebookの仮想通貨参画企業になる恐れがあります。
例えば、ウォールマートなどは世界の売上規模が大きいので、Facebook仮想通貨が流行るようなら、Visaやマスターカードの手数料を嫌ってFacebookの仮想通貨に参画する恐れがあります。
これはFacebook仮想通貨がどの程度流行るかにもよりますが、Visaとマスターカードの決済基盤の利用に大なり小なり影響を与えることは確かです。
Visaとマスターカードの狼狽売りは禁物
しかし、だからといって直ぐにVisaもマスターカードも売りに出る必要はまだないと思います。クラウドに敗れたIBMも、ケーブルテレビの顧客をNetflixに取られたディズニーも、その大きな変化は長い時間をかけて徐々に事態が進行していきました。
なので、Facebookの仮想通貨の流行り具合を1-2年じっくり様子を見てから判断しても遅くはないと思います。
今日はVisaとマスターカードが盤石な銘柄だと信じて疑わない人に向けて、そんなこと無いよ、状況は変わりつつあるかもしれないよという内容をお届けしました。