昨日はアメリカで利上げ停止が起こった場合には、過去に金利や株価がどう変わっていくのかを書いていきました。
上の記事の中で、利上げ停止が株価の上昇要因になりえるという話をしたのですが、今の時期の株価についてはもう一つだけ大事な話をしなければなりません。
確かに、過去の米国株の値動きを見ていると利上げ停止とともに株価は上昇するのですが、その上昇は企業利益が減少が始まるまでの間だけだという点です。
この記事のポイント
- 過去の景気後退前の株価を見ていると、企業利益が悪化し始めると株価の下落が見られる。
- 新型コロナ不況(2020年)でも世界金融危機(2007年)でも、一株利益が悪化しはじめてから株価は下落した。
- 早ければ2022年10-12月期にも一株利益は前年比でマイナス成長に転じる。一株利益の悪化の訪れが早いなら、利上げ停止による株価上昇はあまり期待できない。
企業利益の悪化で株価は下落
まず、一つ目にお伝えしたいことは、景気後退を目前にして企業利益が悪化し始めると株価の大きな下落が始まるという点です。
例えば、この動きは2020年の新型コロナ不況に見られています。
また、アメリカの住宅バブルを背景にした2007年から2009年の世界金融危機(サブプライムローン問題・リーマンショック)時にも、企業利益の悪化から株価が崩れています。
企業利益は10-12月期にもマイナス成長に
次にお伝えしたいことは、景気後退はそれほど遠くない時期に予想されていて、なおかつ2022年10-12月期にもS&P500の一株利益は前年比マイナス成長に転じるかも知れない点です。
次のグラフはS&P500の一株利益の実績とアナリスト予想ですが、予想では10-12月期は前年比マイナスになっています。
議論が分かれるのは、10-12月期以降に企業利益がプラス成長に転じるのかそうでないかです。
2023年にもアメリカで景気後退が起こると考えているのは投資家の間で多数派のように思いますが、それでも上のグラフを見る限りアナリストたちの多くが企業の利益が2023年に上向くと考えているのは不思議な感じがします。
2022年よりも高い政策金利が維持される2023年は2022年よりも景気が停滞すると考えるのが自然で、それなら企業利益の停滞の始まりは22年10-12月頃から始まってもおかしくありません。
企業利益と相関が高いNY連銀製造業指数の動きを見ていると、製造業の景気指数はすでにかなり悪いので私はアナリストのように楽観はしていません。
昨日の記事ではアメリカで利上げが起これば株価の上昇要因になると書いたものの、株価の下落要因となる企業利益の減少がそう遠くない未来に始まる恐れもあるので、私はまだ米国株に強気になっていません。