投資家の方はアメリカの景気の波を感じるためにISM製造業指数をチェックしている人も多いと思います。
でも、いち早く11月の景気を知りたいのならニューヨーク連銀が発表している製造業指数を確認するのも手です。
今月も他の経済指標に先駆けて11月の景況指数が発表されたので、確認していきます。
この記事のポイント
- 11月のニューヨーク連銀製造業指数は、予想を上回って前月から緩やかな景気拡大を示した。
- ただし、6ヶ月先の景況指数は低下し、景気が底を打ったとは言えない。
- 2023年のアメリカの景気悪化に備えて投資をする必要がある。株は控え、国債やゴールドの投資のチャンスを伺う。
予想外の緩やかな景気拡大を示したニューヨーク連銀製造業指数
ニューヨーク連銀が発表した11月の景況指数(調査期間11月2日〜9日)は予想より良かったです。
- 予想:マイナス5.8
- 結果:4.5(前回:マイナス9.1)
この結果はプラスなら前月よりも景気が上向き、マイナスなら前月よりも景気が下向きとなります。
11月はマイナスが予想されていたのですが、結果はわずかにプラスで製造業の景気が緩やかに景気拡大したことを示しています。
これは少し良いニュースです。
昨日は大手ハイテク企業を中心に人員削減が進んでいるという話をしましたが、アメリカ企業全体ではそれほど景気は悪くないと見ているとようです。
上のグラフを見ると、直近では8月が景気が低迷してから数ヶ月間はわずかに景気は上向いたようです。
景気の底にはまだ達していない
ここまでに、11月の景気は予想外に強かったことがわかりました。
最近は株も好調なので「そろそろ株を買いたい」と思う人もいるかと思うのですが、私はまだ株は買わないでいいと思っています。理由はアメリカの景気はまだ底には達していなく、それなら株価は今後2023年にかけてまだ下がると考えているからです。
景気が底に達していない兆候はニューヨーク連銀の製造業景況指数を見てもわかります。
ニューヨーク連銀は11月時点の景気である「現況指数」の他に、6ヶ月先の景気見通しである「期待指数」も発表しているのですが、この期待指数はまだ低下傾向が続いています。
たいていの場合、景気の底に達すると現況指数も期待指数もともに上昇します。新型コロナ流行時の不況も、世界金融危機でもこの動きが見られました。
上のグラフでは2009年2月に現況指数も期待指数も底打ちしています。
米国株に詳しい人ならピンと来るかも知れませんが、2009年2月と言えば世界金融危機の株安が底打ちする1ヶ月前のタイミングです。アメリカ企業の製造業の景気指数は経済や株価の底をかなり敏感に感じ取っていることがわかります。
アトランタ連銀が公表しているアメリカのGDP予想(GDPNow)では、2022年第4四半期に前期比年率+4.0%と高い数字が予想されているので、「8月頃に景気の底を打ったから、そろそろ株を買っても良いのでは」と考えられなくもないです。
しかし、NY連銀製造業指数やその他の景気後退のシグナルを読み解くとちゃんとした買い場はまだこれから先2023年にかけてやってくると私は思っています。
今後の景気が悪化することを考えると、景気悪化に強い長期米国債、長期米国債買い(長期金利低下)で恩恵を受けるゴールドが投資の選択肢になってくるはずです。