この1週間で発表されたアメリカの経済指標はどれも良くないものばかりでした。
昨日の記事では11月の小売が優れなかった話をしましたが、今日は12月の製造業の景気の強さ(景況感指数)を取り上げたいと思います。
11月の小売売上の内訳からモノが売れていなく製造業は苦しい状況にあることは昨日も触れましたが、12月もその傾向が続いているようです。
ただ、良かった点も1つだけありました。製造業の半年先の景況指数が上向いたかも知れないことです。この勢いが本物なら、2023年のS&P500の一株利益低下は4月から5月に収まる望みがあります。
この記事のポイント
- 12月の製造業の景況指数は予想よりも悪化している。ニューヨーク連銀製造業指数もフィラデルフィア連銀製造業指数も予想を下回った。
- 一方で、半年後に景況指数は上向き始めた。これが本物ならS&P500の一株利益の低下は2023年の4月から5月に収まる可能性が出てきた。
悪化している12月の製造業指数
まず、ニューヨーク連銀が発表した12月の製造業の景況指数を確認していきます。
12月のニューヨーク連銀製造業指数
- 予想:マイナス1
- 結果:マイナス11.2
こちらは予想以上よりも大きく数字が悪化していました。前月は景気が上向いたのですが、景気悪化の目安になるマイナス圏内に逆戻りしています。
同じような製造業の景気指数はフィラデルフィア連銀も発表しているのですが、こちらも結果は悪かったです。
12月のフィラデルフィア連銀製造業指数
- 予想:マイナス10
- 結果:マイナス13.8
シンプルにまとめると12月のアメリカの製造業は景気が悪かったということになります。
そうなると年明けに発表される12月のISM製造業指数も悪い数字が出るかも知れません。これらの製造業指数とISM製造業指数はゆるく関連しあっているので、この12月のISM製造業指数の数字はあまり期待できません。
ISM製造業指数の景気が崩れると、株価の一株利益にも影響が出る恐れがあるので、年明けの数字に注意深く見ていきたいと思います。
明るい兆し
今回のデータから救いがあるとしたら、今後6ヶ月の見通しがやや上向いた事かもしれません。下図の黒線はフィラデルフィア連銀が調査した半年後の製造業の景況指数ですが、上向きはじめた傾向が見られます。
また、先日の記事でも書いたようにフィラデルフィア連銀の「6ヶ月先の新規受注見通し」はS&P500の一株利益に半年ほど先行する傾向があります。
最新の「6ヶ月先の新規受注見通し」は2023年4月から上向き始めているので、ひょっとするとS&P500の一株利益は2023年4月に底を打って反転するかも知れません。
S&P500はこれから4ヶ月は一株利益の低下で下落に見舞われるかも知れませんが、それを超えばようやく明るい兆しが見えてくるかも知れません。