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アメリカ製造業、スタグフレーションの気配がちらつく【22年5月NY連銀製造業指数】

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最近のアメリカの経済指標を見ていると雇用などの経済の強さを示すデータはまだ堅調なのに、景気のアンケートを取ると極めて悪いデータが出てくる傾向があります。

NY連銀が集計した5月の製造業の景気指数が発表されましたが、最近の傾向どおりひどく悪かったです。

今回の製造業の景況感のデータだけを見ていると、アメリカは高インフレ景気悪化のスタグフレーションが近いのかと不安がよぎるほどでした。

この記事のポイント

  • NY連銀が発表した製造業景気指数は好転した前月から一転して、再びマイナスに転落した。
  • 新規受注と出荷が前月から著しく悪化して景気が悪化している一方、支払い価格は高止まりが続いている高インフレは続いている。

再びマイナスに転落したNY連銀指数


ニューヨーク連銀製造業指数の結果を見ていきます。

マイナスは前月よりも景気が悪化していることを示すのですが、5月(調査期間は5月2日〜9日)はマイナスに転落しています。

  • 予想:15.0
  • 結果:-11.6

今年このデータがマイナスになったのは初めてではありません。1月と3月にも一度マイナスに転じていました。

3月から4月にプラスに転じたときには、「3月の景況感の悪化はロシアとウクライナの戦争が影響した一時的なものかも知れない」と考えていました。

しかし、その後に再びマイナスに落ち込んだというのが今の状況です。

わずか5ヶ月で3回もマイナスを経験してしまうと、さすがにアメリカの景気はかなり悪くなってきたと言わざるをえないです。

このデータは多くの投資家が注目しているISM製造業指数とも近い動きをするので、来月ISM製造業指数も良くない結果が出てくる恐れがあります。

スタグフレーションの気配がちらつく


NY連銀のデータを見ていて心配になるのは、物価上昇の勢いが強いまま、景気が悪化するスタグフレーションの色がちらついていることです。

まず、製造業が支払っている物資の価格は高い状態(高インフレ)が続いていることがわかります。

しかし、一方で需要の強さを表す新規受注と、供給の強さを表す出荷のデータは共に大きな減少が見られて、景気が悪化していることを示しています。

以前スタグフレーションが起こった1970年代には米国株もドルは急落が見られ、日本から米国株を投資している人間にとっては二重苦となる展開になりました。

その再来にならないと良いと思いながら、来月に発表されるISM製造業指数でアメリカの景気を再確認したいと思います。


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